魑魅魍魎の世界で続けられる綱渡りの行方
2020年11月08日
米大統領選で取りざたされたバイデン氏の「疑惑」は、ほとんどが郭文貴とスティーブ・バノンの一派から発信されたものだった。さて、この二人の沼のような汚れ仕事の舞台となっているGNEWSについては、少し違う角度からの情報も流れている。
米大統領選の闇と中国民主化運動のヒーローの正体 怪物、郭文貴の謎/上
ウォールストリート・ジャーナルによると、このサイトビジネスに多額の投資が集められたという。しかし、これがどうにも様子がおかしいということが指摘されはじめた。同紙はFBIがこの件について捜査中と伝えている。
この資金が、「GAFA」(Google、Apple、Facebook、Amazonの独占ウェブ企業のこと)のようなネットビジネスをつくるというような宣伝がなされたらしい。またサイト内で流通する通貨のビジネスについても、なんらかの謳い文句があったらしい。
ところが、このGNEWSのサイトといえば、ニュースサイトといってもブログに毛がはえた程度のものでしかない。コンテンツも、もっぱら郭本人が自撮りに近い手作り感あふれる動画が掲載されているだけだ。さらには郭一派のユーチューバーや、前述した中国から亡命したという科学者女史などのお仲間が動画であらわれ、そして正体のわからぬスキャンダル情報が続く。もちろんこれでは広告もつかないだろうし、実際に営利サイトとしては異例の広告なしの運営だ。これのどこがビジネスになるのか、私には皆目見当がつかない。
この時期に、郭のマンションの名義となっていた会社が経営破綻し、マンションが売りに出たという話も出てきた。ヨットも同じように売りに出ているという情報も伝えられた。そしてとどめとなったのが、スティーブ・バノンの逮捕である。メキシコ国境に不法移民を流入させない壁をつくると称して集めたファンドが、バノンらによって私的に流用されていたということで、詐欺とマネーロンダリングに関する罪での逮捕だった。
そしてこの頃から、郭文貴の同じ在米の中国人民主活動家に対する攻撃が始まった。なぜかはわからないが、名指しで彼らは中国の民主化運動の化けの皮をかぶった中国のスパイだとビデオで唐突に公言しだした。
長く中国で民主化運動を繰り広げている福音派の宣教師、ボブ・フー(傅希秋)が最初のターゲットだった。中国の人権問題の支援で政治難民を受け入れてきたこともある非政府組織の「チャイナエイド」の主催者である。
郭文貴はバットを持ってGNEWSのビデオに登場し、フーが中国共産党のスパイで、人権を騙るニセの牧師だと言った。さらには人身誘拐の組織(蛇頭)にも関与しているという。
「裏切り者を殺せ」と郭はビデオで呼びかけた。「まずはこいつらから
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