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感染急拡大のヨルダン政府が陥るディレンマ

[9]感染対策を口実にしたメディア、教員への弾圧

川上泰徳 中東ジャーナリスト

政府支持の報道以外認めない情報統制

ヨルダンのアブドラ国王 Alexandros Michailidis/Shutterstock.com拡大ヨルダンのアブドラ国王 Alexandros Michailidis/Shutterstock.com

 非常事態宣言では、コロナウイルスの感染を広げるとして、新聞や雑誌などの印刷媒体の発行を禁止した。これに対して、国際的NGO「国境なき記者団」(RSF)は「ヨルダンはコロナ対策で非常事態宣言を出し、ウイルスを媒介するとして、印刷媒体の新聞の停止を含む措置をくだした。そのような口実で、印刷メディアを制限することの正当性について懸念と疑義を表明する」とツイッターで表明した。

 ヨルダンは報道内容に対する規制も強めた。4月9日にロヤテレビの社主兼報道局長のファレス・サイグ氏とニュース部長のムハンマド・ハルディ氏がコロナ対策関連の放送をめぐって軍当局に逮捕された。容疑は外出禁止令が出たために働くことができないと不満を訴える住民のインタビューを放送したためだという。ヨルダン当局が、コロナについては、政府の政策を支持する報道以外認めないという、まさに戦時の情報統制の手法である。

 4月15日、公安情報局のサイバー犯罪部は

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筆者

川上泰徳

川上泰徳(かわかみ・やすのり) 中東ジャーナリスト

長崎県生まれ。1981年、朝日新聞入社。学芸部を経て、エルサレム支局長、中東アフリカ総局長、編集委員、論説委員、機動特派員などを歴任。2014年秋、2度目の中東アフリカ総局長を終え、2015年1月に退職し、フリーのジャーナリストに。元Asahi中東マガジン編集人。2002年、中東報道でボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『シャティーラの記憶――パレスチナ難民キャンプの70年』(岩波書店)、『イラク零年――朝日新聞特派員の報告』(朝日新聞社)、『現地発 エジプト革命――中東民主化のゆくえ』(岩波ブックレット)、『イスラムを生きる人びと――伝統と「革命」のあいだで』(岩波書店)、『中東の現場を歩く――激動20年の取材のディテール』(合同出版)、『「イスラム国」はテロの元凶ではない――グローバル・ジハードという幻想』(集英社新書)など。

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