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田中均が読み解く「大統領選挙後のアメリカ、そして世界」

バイデンは国内の分断を緩和し、世界のリーダーシップを取り戻せるのか

田中均 (株)日本総研 国際戦略研究所特別顧問(前理事長)、元外務審議官

 11月8日に行われたバイデン・ハリスの勝利宣言を聞いた。これまで大統領選挙のたびに何度もリアルタイムで勝利宣言を聞いてきたが、今回ほど感動したことはなかった。

 77歳のジョー・バイデンと黒人女性カマラ・ハリスはいずれも勢いがある声で、言葉を選び、結束を呼び掛けた。アメリカは万人に機会を提供しうる国であると語り、とても理念的な演説だった。

拡大バイデン氏の勝利宣言を演説会場の外で見守り、歓声をあげる支持者ら=2020年11月7日、米デラウェア州ウィルミントン

 史上最高齢で大統領となる人物と史上初の副大統領になる黒人女性の宣言であり、一層印象的だった。それはトランプ大統領の虚構に満ちた自己主張とは対照的であり、アメリカだけではなく世界が待ち望んでいたものであったのだろう。

 しかし、この異様な大統領選挙がもたらしたアメリカという国の傷を癒すのは容易なことではない。バイデンは待ち受ける幾つかの重要な課題を克服できるのだろうか。


筆者

田中均

田中均(たなか・ひとし) (株)日本総研 国際戦略研究所特別顧問(前理事長)、元外務審議官

1969年京都大学法学部卒業後、外務省入省。オックスフォード大学修士課程修了。北米局審議官(96-98)、在サンフランシスコ日本国総領事(98-2000)、経済局長(00-01)、アジア大洋州局長(01-02)を経て、2002年より政務担当外務審議官を務め、2005年8月退官。同年9月より(公財)日本国際交流センターシニア・フェロー、2010年10月に(株)日本総合研究所 国際戦略研究所理事長に就任。2006年4月より2018年3月まで東大公共政策大学院客員教授。著書に『見えない戦争』(中公新書ラクレ、2019年11月10日刊行)、『日本外交の挑戦』(角川新書、2015年)、『プロフェショナルの交渉力』(講談社、2009年)、『外交の力』(日本経済新聞出版社、2009年)など。 (Twitter@TanakaDiplomat)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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