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田中均が読み解く「大統領選挙後のアメリカ、そして世界」

バイデンは国内の分断を緩和し、世界のリーダーシップを取り戻せるのか

田中均 (株)日本総合研究所 国際戦略研究所 理事長/元外務審議官

大統領選挙はいつ終わるのだろうか

 従来敗者から勝者への電話と敗北宣言が勝利宣言に先立つが、トランプ大統領は敗北を認めず法廷闘争を止めないという。

 ただ再集計しても複数の接戦州において万人単位の選挙人数の差をひっくり返すのは不可能であろうし、郵便投票の不正を訴えるためには組織的な不正の証拠が必要になろう。12月8日の選挙人確定、或いは明年1月6日の連邦議会での選挙結果確定の日程をにらみ選挙人確定を遅らせ、下院での各州一票の選挙(そこではトランプ勝利が想定しうる)に持ち込めるという意識なのか。

 米国の憲法の下でのプロセスにかかわることであり評論すべきことではないが、やはり米国の多くの人々はトランプ大統領、或いはその家族、そして議会共和党指導者がこれからの世論を見極め、名誉ある撤退をするという判断がなされるべきだと考えているに違いない。

 もしトランプ大統領が根拠なく不正な選挙であるとトランプ支持者を煽り続ければ、暴力的衝突も現実になってしまうのかもしれない。

 トランプ大統領が敗北を認めず法廷闘争を続けるということであれば、通常就任式までの期間に政府関係部門で行われる政権移行の作業もスムーズに行われることはないだろう。

拡大ホワイトハウスで会見するトランプ大統領=2020年11月5日、ワシントン

 さらにもっと深刻な問題は1月20日の新大統領の就任式までの2カ月余の間、トランプ大統領は引き続き大統領の座にあるが、通常去っていく大統領は次の大統領の職務に影響を与える政策は行わないという常識が守られるのかどうかである。国内施策は議会との関係があり出来ることは限られているが、対外政策については大統領の専権的な行動が可能だ。

 いずれにせよ大統領選挙のプロセスが出来るだけ早期に終わることが重要だ。

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筆者

田中均

田中均(たなか・ひとし) (株)日本総合研究所 国際戦略研究所 理事長/元外務審議官

1969年京都大学法学部卒業後、外務省入省。オックスフォード大学修士課程修了。北米局審議官(96-98)、在サンフランシスコ日本国総領事(98-2000)、経済局長(00-01)、アジア大洋州局長(01-02)を経て、2002年より政務担当外務審議官を務め、2005年8月退官。同年9月より(公財)日本国際交流センターシニア・フェロー、2010年10月に(株)日本総合研究所 国際戦略研究所理事長に就任。2006年4月より2018年3月まで東大公共政策大学院客員教授。著書に『見えない戦争』(中公新書ラクレ、2019年11月10日刊行)、『日本外交の挑戦』(角川新書、2015年)、『プロフェショナルの交渉力』(講談社、2009年)、『外交の力』(日本経済新聞出版社、2009年)など。

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