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韓国が特派した知日派の切り札・朴智元

米バイデン新政権と日韓関係、ダブル懸案の打開狙う

市川速水 朝日新聞編集委員

金大中氏の側近だった朴智元氏

 「朴智元」(パク・チウォン)といっても馴染みがない人が多いかもしれない。

 大統領など目立つポストには就いたことがないものの、韓国の戦後政治史の名脇役として、民主派勢力とともに浮沈を繰り返し、2020年夏からは国家情報院=前身はKCIA(韓国中央情報部)=の院長を務める。

 その朴氏が2020年11月、電撃的に来日し、菅義偉首相らと会談を重ねた。

拡大2020年11月10日、首相官邸で報道陣に囲まれる朴智元・国家情報院長

 アメリカで民主党のバイデン政権が誕生すれば、朝鮮半島情勢の大きな変化が予想されること、同時に、日韓関係にも修復を求める圧力がかかることを見越して、日本に先手を打ってきたものだ。元徴用工への賠償問題を機に冷え切った、日韓関係の打開を目指す「大統領特使」としての役割を担って来日したといってもよい。

 朴氏は閣僚級だが、来日の目的は職務とは全く無関係とみられる。朴は日本の統治下に生まれた78歳。筆者も2度ほど会ったことがあるが、酒豪で、外交的な人柄に見えた。

 民主化運動の旗手で同郷の全羅南道出身でもある金大中(キム・デジュン)氏とともに政治家の道を歩み、金大中氏が政権を握ると側近に重用された。

 文化観光相として日本大衆文化の開放を手がけ、第1次韓流ブームのきっかけをつくった。また、日韓共催サッカーW杯の際に人の往来を増やすための交通網整備などに絡む日韓協議を通じて日本への関心も深めた。2000年に初の南北朝鮮首脳会談が実現する際には秘密裏に舞台を設定し、北朝鮮への送金疑惑がかけられたこともある。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領とは党内で鋭く対立した時期が長かった。離党・結党を繰り返し、10以上の政党を渡り歩いた末、野党の立場ながら腕力を買われて文政権入りした。

拡大2017年の韓国大統領選では文在寅氏のライバル・安哲秀氏(中央)を支援して敗れた朴智元氏(左)=ソウル市

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筆者

市川速水

市川速水(いちかわ・はやみ) 朝日新聞編集委員

1960年生まれ。一橋大学法学部卒。東京社会部、香港返還(1997年)時の香港特派員。ソウル支局長時代は北朝鮮の核疑惑をめぐる6者協議を取材。中国総局長(北京)時代には習近平国家主席(当時副主席)と会見。2016年9月から現職。著書に「皇室報道」、対談集「朝日vs.産経 ソウル発」(いずれも朝日新聞社)など。

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