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コロナで二度目の緊急事態宣言中。スペインのニューノーマルを見る(後編)

ERIKO モデル・定住旅行家

 「コロナで二度目の緊急事態宣言中。スペインのニューノーマルを見る(前編)」に引き続き、スペイン人の暮らしが新型コロナウイルスでどんな風に変わったかを紹介しよう。

 人との付き合いはどう変化しただろうか。外出禁止が解かれた後、スペインの人たちが真っ先にしたのは、友人や家族とバーやレストランで集うことだった。スペインには、レストランやバーなどで友人、家族と食事をする習慣が根付いている。それは重要な社交場、楽しみ、癒しの場でもある。

 新型コロナウイルスの感染が深刻化する前、平日の夜や休日になると、バーのカウンターは様々な年代の人びとであふれ、注文するのも一苦労という混雑ぶりを呈していた。それこそが、まさしくスペインを象徴する光景のひとつだった。それだけにコロナ禍で友人たちと会えない喪失感は、日本人の比ではなかったと容易に想像できる。

拡大マドリード市内。休日や平日の夕方以降はテラス席もいっぱいになる(撮影:ERIKO)

メニューにQRコード、テラス席に誘導……

 今回のパンデミックにより、観光客に頼っていたレストランの多くが休業や廃業に追い込まれた。だが、地元民に人気のあるレストランはしっかり生き残っており、飲食店の営業が再開された現在は、満席状態で賑わっている店も多く見かける。

 店内のメニューにQRコードを読み込む方式が採用されていたり、屋外のテラス席にお客さんを誘導したりといった工夫はしているが、日本の飲食店のように、入店時に検温などをしている店はほとんどない。日本では、感染予防のために多人数での会食を避けるなどする人も少なくないが、スペインでは会食を控えることの優先順位は、日本人よりもはるかに低いようだ。

拡大レストランで採用されているメニューを読み込むQRコードだが、店員さんが口頭で説明してくれる場合がほとんど(撮影:ERIKO)

 テレワークになって、外食や食事のあり方はどう変化しただろうか。エドゥアルドさん夫婦は、これまでは月に2〜3回外食をしていたそうだが、今はゼロ。もともと二人とも料理が得意なので、ロックダウンの間は調理することを一つの楽しみにしていたのだそうだ。

 外食には、テラス席など換気の良い場所であっても、食事中は周囲の人がマスクをせず会話をしているため、今はまだリスクを感じるという。

 スペインでは大手などで「昼食手当」を出している会社も多く、月曜から木曜まで(金曜は終業時間が短いため)一食につき8〜9ユーロ(1000〜1100円)分を会社負担で食べることができる。テレワークとなり、昼食費が支給されなくなった会社も多いが、エヴァさんの会社は自宅で働いた場合も引き続き支給されているという。

拡大企業から従業員に提供される昼食チケット。一回の食事で8~9ユーロを負担してくれる(撮影:ERIKO)


筆者

ERIKO

ERIKO(エリコ) モデル・定住旅行家

鳥取県出身。高校在学中、語学留学のためイギリス、アメリカ合衆国に滞在。高校卒業後、イタリア、アルゼンチン、ロシア、インドで語学習得のための長期滞在をきっかけに、様々な土地に生きる人達の生き方や生活を体感することに興味を抱く。スペイン語留学で訪れたアルゼンチンでの生活をきっかけに、ラテンの地と日本の架け橋になるという目的を持って、中南米・カリブ25ヶ国を旅した。モデルと並行し、「定住旅行家」として、世界の様々地域で、現地の人びとの生活に入り、その暮らしや生き方を伝えている。NEPOEHT所属(モデル)。著書「暮らす旅びと」(かまくら春秋社)、「たのしくてう~んとためになるせかいのトイレ」(日本能率協会)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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