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トランプは敗れたがトランプイズムはつづく~2020年大統領選の本質

圧倒的な正統性を得られなかったバイデン。次期大統領選に向けての戦いを始めた共和党

三浦瑠麗 国際政治学者・山猫総合研究所代表

注目を集める次期副大統領ハリス氏

 こうした民主党内の雰囲気を反映してか、バイデン氏以上に注目を集めているのがハリス氏だ。初の女性マイノリティの副大統領を実現したことは、もちろん歴史的な快挙である。また、ハリス氏の実績も実力も軽視すべきではない。

 彼女は、出身地のサンフランシスコの検事としてキャリアをスタートさせ、カリフォルニア州の司法長官、上院議員として頭角を現した。トランプ政権によるカバノー最高裁判事の任命にあたって、舌鋒鋭く過去の性的暴行疑惑を追及したことは記憶に新しい。民主党上院議員として大きな見せ場を作ったといえるだろう。

 2020年の大統領選挙においても、短期間ではあったが主要候補として躍り出るところまでいった。中道寄りのキャリアを歩みながら、大統領選挙では女性とマイノリティという二重のマイノリティ性を生かしてプログレッシブ(革新系)にうまく歩み寄り、党内にも目配りをする。苦労の度合いや実績はヒラリー氏の方が勝ると思うが、それだからこそ副大統領として任命されたともいえよう。

 バイデン氏は大統領就任時に78歳、4年後に再選をかけた戦う時には82歳である。トランプ氏も十分高齢だが、選挙中はバイデン氏の年齢を不安視する声が相当程度聞かれた。大統領の求心力に影響するのでおおっぴらには語られてはいないが、バイデン氏は2期目を目指さないのではないかという噂が絶えない。

 であれば、2024年時点でのハリス氏の存在感は、否応なく高まることになるだろう。今回のバイデン氏の選挙からも明らかなように、副大統領というのは大統領を目指すうえでもっとも有利な立場だからだ。

拡大バイデン前副大統領の応援演説に立つカマラ・ハリス上院議員=2020年3月9日、米ミシガン州デトロイト、藤原学思撮影

すでに始まっている党派的攻撃

 共和党からすると、ハリス氏はもっとも敵対しやすいタイプに見えるだろう。「実力ではなく、二重のマイノリティ性ゆえに選ばれただけの存在ではないか」、「所詮、カリフォルニア州の恵まれた教養家庭に育ったエリートではないか」、「中道寄りと急進左派の間を行き来していて信用できない」などなど、ハリス氏をつぶすための運動はすでに始まっている。

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筆者

三浦瑠麗

三浦瑠麗(みうら・るり) 国際政治学者・山猫総合研究所代表

1980年神奈川県茅ケ崎市生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、博士(法学)。専門は国際政治、比較政治。東京大学政策ビジョン研究センター講師などを経て現職。著書に『シビリアンの戦争―デモクラシーが攻撃的になるとき』(岩波書店)、『「トランプ時代」の新世界秩序』(潮新書)、『あなたに伝えたい政治の話』(文春新書)など。政治外交評論のブログ「山猫日記」を主宰。公式メールマガジン、三浦瑠麗の「自分で考えるための政治の話」をプレジデント社から発行中。共同通信「報道と読者」委員会第8期、9期委員、読売新聞読書委員。近著に『21世紀の戦争と平和 徴兵制はなぜ再び必要とされているのか』(新潮社)。

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