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新型コロナのデータ整備をできずしてデジタル庁を語るなかれ

新型コロナ「第3波」の日本で科学的感染拡大防止を実現するために必要なことは

大濱﨑卓真 選挙コンサルタント

自治体ごとにまちまちな症例データの開示

 新型コロナと人類のたたかいが、長期に及ぶことは間違いありません。そこで対応する際に大切になるのが持続性です。

 ところが日本では、コロナに関するデータ収集・公開というプロセスにおいて、この持続性という観点が、感染拡大当初、厚生労働省に欠けていたと思います。厚労省ははじめ、国内の新型コロナ全症例に「通し番号」をつけ、同省のホームページで公開していました。しかし、輸入事案から国内発生事案へとコロナ感染の割合がシフトし、国立衛生研究所から地方の衛生研究所に検査がシフトした段階、国内感染者数で言えば1000人に満たない段階で、早々とこの形の公表形式を止めてしまったのです。

 それ以降、厚労省は自治体が公表する発生事案を、報道発表をベースに取りまとめて公表していますが、あくまで件数のみの発表であり、性別、年齢、確定日・発症日、重症度、リンク先といった個票のデータは、今も各自治体のホームページを閲覧するほかありません。

 各自治体の報道発表での症例データ開示の仕方は、項目や方法、時間などがまちまちです。保健所が設置された自治体ベースでの発表となりますから、例えば神奈川県の場合、神奈川県、横浜市、川崎市、相模原市、藤沢市、茅ヶ崎市、横須賀市の7地方自治体にわたり、しかも自治体ごとにフォーマットや項目構成が異なるのです。

 年代ひとつとっても、個人を特定されないための秘匿化の基準が異なるので、「未就学児」と「10歳未満」、「100歳代」と「90歳以上」といったように、表記のゆれが見られます。「2000個問題」(注)に象徴される個人情報の取り扱いの違い、感染症法の解釈に対する自治体のゆれが、全国網羅的なデータ整備を阻害している現状は、今もほとんど変わりません。

〈注〉日本の個人情報保護は、民間を対象とした個人情報保護法、国の公的部門を対象とする「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」(行政機関個人情報保護法)と「独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律」(独立行政法人等個人情報保護法)、更には自治体がそれぞれ制定した個人情報保護に関する「個人情報保護条例」など、2000個近い法律と条例によって構成されている。それぞれの法律や条例は個人情報の定義や解釈なども違いがあり、それが個人情報の利活用や自治体間の連携などを阻害する要因になっていることを指して「2000個問題」という。(コトバンク参照

不完全なデータベースシステム

 そもそも、報道発表資料をもとにしているから自治体ごとのゆらぎはしょうがない、という指摘もあります。皆さんは「疫学の専門家や政府の関係者は、感染者情報のデータベースにアクセスできるので、問題ないだろう」と思うかもしれません。

 しかしながら、厚労省の「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム」(HER-SYS)に代表されるデータベースシステムは不完全で、完全かつ網羅的なデータが揃っている状況とはとても言えません。

 “8割おじさん”として有名になった西浦博教授もインタビューで、「あちこちの行政のウェブサイトや論文から集めて自分たちでデータベースを作っています。(中略)私の研究室では大学院生が輪番で世界中のデータを集めていました。」と答えているように、我が国のコロナ対策をリードする疫学専門家も、実際は同様の作業をしている状況なのです。

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筆者

大濱﨑卓真

大濱﨑卓真(おおはまざき・たくま) 選挙コンサルタント

1988年生まれ。青山学院大学経営学部中退。2010年に選挙コンサルティングのジャッグジャパン株式会社を設立、現在代表取締役。衆参国政選挙や首長選挙をはじめ、日本全国の選挙に与野党問わず関わるほか、「選挙を科学する」をテーマとした選挙に関する研究も行う。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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