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米大統領選で顕在化した「切り取られた」民主主義。修復は可能なのか?

機能不全に陥った民主主義・選挙。市民の権利を担保するため司法の機能強化も有効か

倉持麟太郎 弁護士(弁護士法人Next代表)

 アメリカ大統領選がなかなか決着がつかない。否、予定された手続は履行されたはずなのだが、決着への不文律が履行されない。

 米大統領選だけでく、昨今の日本の国会論戦や大阪都構想の住民投票を眺めていて、ふと頭に浮かんだことがある。それは、「民主主義が切り取られている」のではないかということだ。

それぞれの勢力が「部分的民主主義」を主張

 そこで見られるのは、自身が支持する政策が実現し、好みの人間が選挙で勝てば「民主主義は機能している」と言い、自身が支持する勢力が負けると「民主主義は機能していない」と言う光景だ。民主主義が、自分の奉ずる価値観にお墨付きを与えるだけのハンコのようなものになってはいる。

 そもそも民主主義とは、すべての人たちの「共通基盤」であり、議論の「前」に存在するものだったはずだ。しかし、いまや、議論が決着した「後」に、自身の立場を正当化するために民主主義が「切り取られたかたち」で出てくるようになった。

 あたかも、それぞれの勢力が「部分的民主主義」なるものを事後的に主張しているかのようだ。

拡大「トランプは負けた」と書いた紙を掲げるバイデン支持者と、「アメリカを偉大なままに」と書いた紙を掲げるトランプ支持者=2020年11月7日、ペンシルベニア州ハリスバーグ、大島隆撮影


筆者

倉持麟太郎

倉持麟太郎(くらもち・りんたろう) 弁護士(弁護士法人Next代表)

1983年東京生まれ。慶應義塾大学法学部卒業、中央大学法科大学院修了。2012年弁護士登録(第二東京弁護士会)。日本弁護士連合会憲法問題対策本部幹事、弁護士法人Next代表弁護士、慶応グローバルリサーチインスティチュート(KGRI)所員。ベンチャー支援、一般企業法務、「働き方」などについて専門的に取り扱う一方で、TOKYO MXテレビ「モーニングCROSS」レギュラーコメンテーター、衆議院平和安全法制特別委員会公聴会で参考人として意見陳述、World Forum for Democracyにスピーカー参加、米国務省International Visitor Leadership Programに招聘、朝日新聞『論座』レギュラー執筆者、慶應義塾大学法科大学院非常勤講師(憲法)など多方面で活動。共著に『2015年安保 国会の内と外で』(岩波書店)、『時代の正体 Vol.2』(現代思潮新社)、『ゴー宣〈憲法〉道場』(毎日新聞出版)、著書に『リベラルの敵はリベラルにあり』(ちくま新書)がある。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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