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自民党政権に憲法改正をされたくないあなたへ~国民投票法採決が改憲につながるというウソ

憲法審査会がやるべきは憲法に関する論点の形成と整理と熟議のデモンストレーションだ

倉持麟太郎 弁護士(弁護士法人Next代表)

 「動かず」の衆院憲法審査会が、軋(きし)み音を上げながら動き始めている。11月26日、2年あまり審議が止まっていた国民投票法改正案について、初めて実質的な審議が行われた。

 この改正案は駅や大型商業施設での投票所設置の拡大など、2018年の公職選挙法改正で決まった内容と平仄(ひょうそく)を合わせるものであり、広告規制などの本質的な論点にはまったく踏み込んでいない。だからこそ、この程度の改正は「さっさと」終わらせ、本質的な改正事項に早く踏み込んでほしい。

拡大国民投票法改正について実質審議をした衆院憲法審査会=2020年11月26日午前11時4分、国会内、恵原弘太郎撮影

「#国民投票法案改正に抗議します」への危惧

 今回、あえて本稿の筆をとったのは、国民投票法改正案の審議を巡って、党派性や属人的願望などに毒された感情的な言説が飛び交い、「#国民投票法案改正に抗議します」のハッシュタグとともに、ファクトを無視したオピニオンがまかり通ることにより、憲法についての議論の先鋭的かつ不適切な部分のみが「過剰に」印象づけられ、憲法論議そのものが人々の心からさらに離れることを危惧したからだ。とりわけ野党の一部から出ている、「国民投票案改正を認めれば、憲法改正を強行される」といった言説は、適切な現状認識を欠いたもので、問題が大きい。

 「#」に熱くなっている人だけでなく、「#」をみて「またか……」と感じて憲法論議から「引いて」しまっている人に、ぜひ本稿を読んでいただきたい。まずは冷静に事態をとらえ、安心を取り戻し、憲法論議からいたずらに引くことなく、とどまって欲しいと思う。


筆者

倉持麟太郎

倉持麟太郎(くらもち・りんたろう) 弁護士(弁護士法人Next代表)

1983年東京生まれ。慶應義塾大学法学部卒業、中央大学法科大学院修了。2012年弁護士登録(第二東京弁護士会)。日本弁護士連合会憲法問題対策本部幹事、弁護士法人Next代表弁護士、慶応グローバルリサーチインスティチュート(KGRI)所員。ベンチャー支援、一般企業法務、「働き方」などについて専門的に取り扱う一方で、TOKYO MXテレビ「モーニングCROSS」レギュラーコメンテーター、衆議院平和安全法制特別委員会公聴会で参考人として意見陳述、World Forum for Democracyにスピーカー参加、米国務省International Visitor Leadership Programに招聘、朝日新聞『論座』レギュラー執筆者、慶應義塾大学法科大学院非常勤講師(憲法)など多方面で活動。共著に『2015年安保 国会の内と外で』(岩波書店)、『時代の正体 Vol.2』(現代思潮新社)、『ゴー宣〈憲法〉道場』(毎日新聞出版)、著書に『リベラルの敵はリベラルにあり』(ちくま新書)がある。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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