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石破茂はこれからどう生きるのか~自民党総裁選「惨敗総括」(中)

佐藤章 ジャーナリスト 元朝日新聞記者 五月書房新社編集委員会委員長

なぜ派閥会長を辞めたのか?

 水月会は、安倍晋三の自民党総裁無投票再選が決まった直後の2015年9月に、石破が自身の派閥として組織。水月会HPに掲載された石破自身の言葉によると「無私、無欲、己を誇らず、相手を貶めず、ひたすら研鑽に励み、世の中のために尽くす集団であるべし」との思いを込めた政策集団。現在、衆院議員17人、参院議員2人の計19人。石破が会長辞任を表明後、後継会長として鴨下一郎元環境相を指名したが、鴨下は固辞し続けている。会員の一部は竹下派への集団移籍を企図したが、若手を中心に派閥の存続を求める声が強い。

――そうですか。私が推測したのはこういうことなんですね。つまり、水月会は何と言っても石破さんを中心に作られた会ですが、辞任すると言明された石破さんが個人として今後どういう政治人生を送るつもりなのか、あるいは水月会という組織をどういうふうに持っていくつもりなのか、そういうことが見えない。だから、後任会長を引き受けることは怖くてできない、ということではないですか。

石破 みんなそれぞれ選挙区があり支持者があって国会議員なわけです。そしてそれぞれやりたいことがある。そのことに私が会長であることで妨げになるのであれば、というふうな思いも私にはあるわけです。

 私は、石破派だからポストが得られないとは思っていないですよ。現に今も厚労大臣に田村(憲久)さんがなり、副大臣も二人出て政務官も出て、政調会長代理も出て、他の派閥とポスト的に遜色があるわけではありません。

 けれども、いわゆる主流派にはいないわけです。だから、主流と言われる中で政治活動をしてみたいと思っている人にとっては、石破を会長としていることはマイナスかもしれない。

 だから、私も含めて、それぞれの考え方を一回整理してみようということだと思います。当選期数にかかわらず、国会議員にとって大切なのはやはり選挙区、地元ですから。

――水月会に集まっている議員は、石破さんをはじめ政策本位で政治を考えていこうという人たちですね。そういうイメージが強いです。

 つまり、普通に通用する言葉と議論によって合意を得て政治を動かしていこうという考えですね。少なくとも、そこのところは志として持っている人たちなんじゃないかと思います。

石破 それは、ありがたいことにそうなんだと思います。

拡大自民党の石破派の会合で披露された「書」=2018年3月1日、東京・永田町

――ということは、もし水月会がなくなればそういう生き方とは違う生き方を迫られる可能性が高いですよね。つまり、他の派閥に移り、志とは違う政治姿勢を求められることになります。そういうことを防ぐためには、水月会の中心である石破さんが今後も変わらずに志を貫いていくんだという考えを強く打ち出すべきなのではないですか。

石破 まずは、「私は水月会を辞めるわけではない。この集団は自民党内で維持しなければいけない。それで、1年後には、いやもう10か月以内にある総選挙において、この水月会で5年間一緒にやってきた同志が一人も欠けることがないように、私で役に立つことは何でもします」ということを申し上げました。

 私として、水月会がきちんと残るということ、全員が選挙を乗り切ること、この二つが大切で、あとは水月会に集ってくれて過去2回一緒にこの厳しい総裁選挙を戦ってくれた人たちが、それぞれ今おっしゃったように、他の派閥に行ったってどうなるかというふうに考えるか、それでもそれだけの見識と能力を持った人たちは他の派閥に行っても重用され、さらに頭角を現していくかもしれないと判断するか、それはそれぞれの判断に委ねたいと思うのです。

 私はカネをまいたりポストをつけたりすることが集団を維持するのに必要なことだとは思っていない。政治家の原点は常に選挙区だと思っているからです。

 投票日にわざわざ投票所に行って名前を書いてくれる人たちが、政治家としての行動を支持してくれるかどうか。自分が有権者たちに対して忠実であり誠実でありたいという原点、それをもう一回考えてみるべきじゃないだろうか。

 それぞれの選挙区でもいろんなことを言う方がおられるでしょう。「石破派にいると偉くなれないから、とっとと別の派閥に行け」とか言われる方もおられるかもしれない。それは、それぞれの議員が選挙区の人たちとどう向き合うかでしょう。

 私も、いろんな決断をする時に選挙区にできるだけ正面から向き合ってきました。新進党を離れた時も自民党を離れた時も、「無所属の石破茂として判断してくれ」と申し上げたし、そういうことを選挙のたびに求めてきました。

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筆者

佐藤章

佐藤章(さとう・あきら) ジャーナリスト 元朝日新聞記者 五月書房新社編集委員会委員長

ジャーナリスト学校主任研究員を最後に朝日新聞社を退職。朝日新聞社では、東京・大阪経済部、AERA編集部、週刊朝日編集部など。退職後、慶應義塾大学非常勤講師(ジャーナリズム専攻)、五月書房新社取締役・編集委員会委員長。最近著に『職業政治家 小沢一郎』(朝日新聞出版)。その他の著書に『ドキュメント金融破綻』(岩波書店)、『関西国際空港』(中公新書)、『ドストエフスキーの黙示録』(朝日新聞社)など多数。共著に『新聞と戦争』(朝日新聞社)、『圧倒的! リベラリズム宣言』(五月書房新社)など。

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