メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

ストレンジャー・ザン・パラダイス

[213]フロイド氏事件現場、バイデン氏の生家、トランプ大集会……

金平茂紀 TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TVディベート、淡々とピザを食べる民主党支持者たち

10月22日(木) 早朝、ニューアークからペンシルベニア州の、まずは生家のあるスクラントンへ陸路で向かう。池原さんにはこの上なく申し訳ないけれども、役立たずの男どもはアメリカでの運転免許がない。何やってんだか。国際免許証くらいとって来いよ、と天の声が言っている。

 3時間の運転でスクラントンへ。途中の風景で、紅葉があまりにも美しくて見とれた。

バイデン氏の生家の前で拡大バイデン氏の生家の前で=筆者提供
 バイデンが生まれてから10歳まで住んだという生家を訪ねる。決して裕福ではないこじんまりとした中産階級のコミュニティの一画だ。お父さんは車のディーラーのマネージャーをしていたが失業してデラウエアへと移り住んで行った。撮影していると近所の住人のおばあさんが近寄ってきた。83歳の上品なおばあちゃん。もちろんバイデン・ファンのようだった。簡単なリポートやインタビューなど。

 そこから周辺の取材。確かに歴史のある、かつては栄えていた町だということが建物などからわかる。町の中のトランプ支持の一画も散見できた。

みのりさんと再会拡大みのりさんと再会=筆者提供
 みのりさんと何年ぶりかで再会。まさかここで会うとはね。新宿3丁目のバー「エスパ」で知り合って、渡米の際には簡単な送別会にも参加した。もともとは英文学志望の福岡県出身のお嬢さんである。高校の英語教師を辞めて渡米した。今はスクラントンのキリスト教系の大学で教鞭をとっている。

 教え子の大学生に集まってもらってインタビューした。いろんな子がいた。バックグラウンドもさまざまであることがわかる。緑色に髪を染めた子が最も元気で多弁だった。もともとバーニー・サンダース支持だったが、トランプのこれ以上の4年は耐えられないという意志を感じた。

スクラントンの大学生と話をする拡大スクラントンの大学生と話をする=筆者提供

 その後、みのりさんの勤務する大学のオフィスを借りて、地元の大学教授キャロル・ルーベルさんとZoomでインタビュー。

 さらにスクラントン関連の追加取材をして、今度はペンシルベニア州東部ルザーン郡のヘイズルトンへと車で1時間近くかけて移動。ここはヒスパニック系住民が急増している地域で、人口2万5000人の約7割を占めている。もともとは石炭業の町だった。4年前の大統領選挙ではトランプが僅差でヒラリーに勝利して、ペンシルベニア州全体での勝利を象徴した地域とも言われている。

 僕らはこの地でヒスパニック系住民のためのスペイン語新聞を発行しているペルーからの移民一世、アミルカー・アロヨ氏(71)に取材をすることになっていた。今夜は氏がピザ・レストランで主催する民主党支持者の第3回大統領候補者テレビ討論会(2回目はルールに不満なトランプが出席を拒否したため、中止になった)のウォッチ・パーティーを取材するのだ。

 ヒスパニック系の票の動向は有権者全体のなかでも「Sleeping Giant=眠れる巨人」と言われていて、浮動票が多く読みにくい。前回もそして今回もかなりの部分がトランプ支持に流れているという観測がある。アロヨさんのような移民第一世代は民主党支持者が多いが、それが第二世代になるとトランプ支持が多くなる。

 会場のピザ・レストランは本当に庶民的なたたずまいの店で、TVディベートの始まる直前にどどっと人々が入ってきた。だが

・・・ログインして読む
(残り:約7049文字/本文:約12121文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『抗うニュースキャスター』(かもがわ出版)、『漂流キャスター日誌』(七つ森書館)、『筑紫哲也『NEWS23』とその時代』(講談社)など多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

金平茂紀の記事

もっと見る