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日本のコロナ対策はユル過ぎ?「外出禁止」段階解除中のフランスからの懸念

国民待望のレストラン再開は年明け。慎重に外出禁止を解除するマクロン大統領

山口 昌子 在仏ジャーナリスト

クリスマス・イブと大晦日は9時以降の外出OK

 12月15日からの第二段階は「映画館、劇場、美術館などの開館」。もちろん、マスク必着で社会的距離も厳守。外出時の「許可書」の携帯も続行だ。しかも、この時点で1日の感染者が5000人以下、集中治療室の入院患者が2500~3000人という条件付きで、確定ではない。午後9時から午前7時までの「夜間外出禁止」も継続する。

拡大人影が消えた夜のシャンゼリゼ大通り=2020年11月18日(筆者撮影)
 ただし、クリスマスが最大の祭事(カトリック教徒が60%余)であることにくわえ、大晦日(おおみそか)のどんちゃん騒ぎが“伝統”であるフランス国民にとって、この条件はあまりに過酷すぎるとあって、12月24日のクリスマス・イブと12月31日は例外的に午後9時以降の外出が許可された。

 イブには、家族でごちそうを食べ、プレゼントを交換した後、ふだんの日曜に教会に行かない者も、教会の夜間ミサに行く。また、大晦日には、シャンゼリゼ大通りが歩行者天国になり、観光客も含めて数十万の人出で賑わう。エッフェル塔を背景に夜空を焦がす花火を堪能するが、花火に関してはやるかどうかはまだ未定だ。いずれにせよ、観光客はいないので、例年より寂しくなりそうだ。

レストラン、スポーツクラブの再開は年明け

拡大閉鎖中のレストラン=2020年11月26日,パリ8区(筆者撮影)
 第三段階は年明けの1月20日からで、いよいよ待望の「レストラン、ディスコ、スポーツクラブの再開」だ。秋以降の第2波襲来は、1回目の「外出禁止」(3月18日から5月11日)の解除と夏季バカンスが重なり、フランス人が自由奔放、勝手気ままに振舞った結果と指摘されており、第3波襲来を防ぐには、年末年始のパーティーや食事会、スキーなどを回避するのが最善策との判断からだ。

 実際、感染率が高いのは、マスクを外す食事時や、社会的距離の確保が困難な環境ということが判明している。マスクを着けていても、大声で話したり、歌ったりすると、目に見えない飛沫にのってコロナウイルスが飛散することも確認されている。

都道府県任せが漂う日本政府のコロナ対応

 一方、日本はどうか。小池百合子都知事は11月25日に「不要不急の外出自粛」と「酒類を提供する飲食店とカラオケ店に対する営業時間の短縮」を要請。期間は11月28日から12月17日までの20日間、店舗には午後10時の閉店を求めるが、要請であって強制ではない。人出が予想されるクリスマスの前後や年末年始は経済優先で避けており、「頭隠して尻尾隠さず」の感は否めない。

 菅義偉首相は「新規感染者が過去最多となるなど、最大限の警戒状況が続いている」ことは認めた。また、「感染拡大が一定レベルに達した地域ではその状況を考慮し、都道府県知事と連帯し、より強い措置を講じる」「都道府県が飲食店に対し、営業短縮を要請する際、地方創生臨時交付券を500億円追加配分して支援する」とも表明したが、都道府県任せの感じが漂い、政府として国全体への目配りする姿勢も覚悟も希薄だ。

 首相肝入りと言われる「GoToキャンペーン」に関しても、「感染拡大防止を最優先」としながらも、「経済をまわしていかなければいけない」とも言い、キャンペーンの中止には否定的だ。首相の頭の中には、「命あってのものだね」という永遠の真理は存在しないのだろうか。

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筆者

山口 昌子

山口 昌子(やまぐち しょうこ) 在仏ジャーナリスト

元新聞社パリ支局長。1994年度のボーン上田記念国際記者賞受賞。著書に『大統領府から読むフランス300年史』『パリの福澤諭吉』『ココ・シャネルの真実』『ドゴールのいるフランス』『フランス人の不思議な頭の中』『原発大国フランスからの警告』『フランス流テロとの戦い方』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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