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「ディープフェイク」の次に注目されるのはAI言語モデル「GPT-3」

目前に迫るライターの失業

塩原俊彦 高知大学准教授

完璧ではないGPT-3

 GPT-3は2020年5月28日に世界に公開された。このGPT-3に関心をもったThe Economistは「詩や散文を生成する新しいAI言語モデル」という記事のなかで、GPT-3を紹介している。そのなかでは、GPT-3の将来性は有望としながらも、記事は「そのプログラムは完璧ではない」と指摘している。

 「ときどき、ゼロから新鮮なテキストを生成するのではなく、記憶されたテキストの断片を再入力しているようにみえることがある」というのだ。しかも、数々の人間の生み出したテキストを学習した結果、人間の本来もっている偏見や性向がGPT-3の生成するテキストに反映されてしまう。たとえば、「黒人」、「ユダヤ人」、「女性」、「ゲイ」などの言葉は、しばしば人種差別、反ユダヤ人主義、女嫌い、ホモ嫌いなどの言葉と結びついた過去のテキストとの高い相関をもつ。その結果、こうした言葉について尋ねられると、GPT-3はこうしたネガティブな言葉を連ねた文章をつくりやすく

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筆者

塩原俊彦

塩原俊彦(しおばら・としひこ) 高知大学准教授

1956年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。学術博士(北海道大学)。元朝日新聞モスクワ特派員。著書に、『ロシアの軍需産業』(岩波書店)、『「軍事大国」ロシアの虚実』(同)、『パイプラインの政治経済学』(法政大学出版局)、『ウクライナ・ゲート』(社会評論社)、『ウクライナ2.0』(同)、『官僚の世界史』(同)、『探求・インターネット社会』(丸善)、『ビジネス・エシックス』(講談社)、『民意と政治の断絶はなぜ起きた』(ポプラ社)、『なぜ官僚は腐敗するのか』(潮出版社)、The Anti-Corruption Polices(Maruzen Planet)など多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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