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菅政権の「逃げの政治」はどこまで続くか~短期政権の時代に入るかの岐路

責任回避が目立つコロナへの対応。「安倍一強」の強力な政治主導はもはや過去のもの

牧原出 東京大学先端科学技術研究センター教授(政治学・行政学)

具体的な準備が不十分だった新型コロナ対策

 振り返れば安倍晋三政権は、過剰なまでに饒舌(じょうぜつ)だった。コロナ対策でも、記者会見、SNSを活用、全国一斉休校、全戸布マスク配布など、効果も定かではない施策に全国民を巻き込み、怨嗟の的となったこともあった。

 こうした饒舌さと菅首相は無縁であり、国民をいたずらに巻き込む施策はとらない。それは一面では手堅くはあるだろう。だが、もしそうであるならば、専門家の意見によく耳を傾けて、きめ細かく感染に対処することが、なににも増して必要なはずである。

 「Go To トラベル」にしても、状況に応じて機動的に停止し、再開への展望をはっきりと伝えるとか、感染拡大をおさえるための営業制限・行動制限をどの地域でどの範囲にわたって要請するかを明確に伝えるとかすれば、国民はここまで不安になることなく、政権の要請を正面から受けいれたであろう。

 しかし、9月の政権発足時において、新型コロナ感染の再拡大がいずれ起こりうることは明らかであったにもかかわらず、菅政権はこの問題について十分な準備を行っていなかったようである。「Go To トラベル」の一時除外、キャンセルへの対応について、11月の3連休に事務方が“突貫工事”に追われたのはその証左であろう。

 仮に、この先さらに「緊急事態宣言」の発出といった事態になれば、首相の説明責任はきわめて重くなる。首相が口下手であることはすでに周知の事実だが、安倍首相が神経をすり減らした、世論からの激しい指弾を受けざるを得ない記者会見の連続に、菅首相はどこまで耐えることができるのであろうか。なんともおぼつかないのが現状である。

持久戦?ジリ貧に陥る気配も

 このように、「半歩出ては逃げる」を繰り返すスタイルに終始しているのが、これまでの菅政権である。では、近いうちに自信を持って一歩を踏み出せる施策はあるのか。デジタル庁の設置や情報システムの統合もまだ先の話であり、携帯電話料金値下げもそう大幅なものではなさそうであり、行政改革も地味な案件ばかりである。

 よく言えば、腰を落ち着けた「持久戦」と言えそうではあるが、一歩間違えばジリ貧に陥りそうな気配も漂っている。

拡大新型コロナウイルス感染症対策本部の会合で発言する菅義偉首相(左から3人目)。左から新型コロナウイルス対策分科会の尾身茂会長、田村憲久厚生労働相=2020年11月27日午後6時36分、首相官邸、恵原弘太郎撮影

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筆者

牧原出

牧原出(まきはら・いづる) 東京大学先端科学技術研究センター教授(政治学・行政学)

1967年生まれ。東京大学法学部卒。博士(学術)。東京大学法学部助手、東北大学法学部教授、同大学院法学研究科教授を経て2013年4月から現職。主な著書に『内閣政治と「大蔵省支配」』(中央公論新社)、『権力移行』(NHK出版)など。

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