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W杯カタール大会の建設工事に動員された外国人労働者の悲惨な現実

[13]過密な住環境で感染が拡大、食料の物乞いも

川上泰徳 中東ジャーナリスト

食料が買えない外国人労働者

 外国人労働者問題は、アムネスティ・インターナショナルなど、世界の人権組織がこれまで繰り返し、指摘してきた問題である。2019年、アムネスティ・インターナショナルは52ページの報告書で、カタールの外国人労働者が劣悪な環境で働かされ、その上、賃金が未払いになっている実態を告発した。

 こうした批判を受け、カタール政府も労働法の改正などに取り組んできた。しかし、外国人労働者が住んでいる工業地域でコロナ感染が拡大したことで、外国人の生活条件は急激に悪化した。

 政府は3月11日に238人の新規陽性者を確認したと発表したが、前日までの陽性者は24人だったから、一気に増加したことになる。その後、政府広報担当の記者会見で「感染拡大は外国人居住者の間で起こった。感染拡大を止めるために、工業地域を封鎖した」と明らかにした。工業地域は首都ドーハ中心部から南西13キロの郊外にあり、数十万人の外国人労働者が生活している。

 イギリスの「ザ・ガーディアン」は3月20日、「都市封鎖でカタール最大の外国人労働者居住区が“事実上の監獄”へ」という記事を掲載した。「警察が工業地域の広大な区画を見張り、何千人もの労働者が、不衛生で、過密で、コロナが急速に蔓延している居住区に足止めになった。労働者たちは、誰も入ることも出ることもできない」。

 さらに5月7日には「カタールの外国人労働者はコロナ感染が広がって、食料を物乞いせざるを得なくなっている」という記事を掲載した。

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筆者

川上泰徳

川上泰徳(かわかみ・やすのり) 中東ジャーナリスト

長崎県生まれ。1981年、朝日新聞入社。学芸部を経て、エルサレム支局長、中東アフリカ総局長、編集委員、論説委員、機動特派員などを歴任。2014年秋、2度目の中東アフリカ総局長を終え、2015年1月に退職し、フリーのジャーナリストに。元Asahi中東マガジン編集人。2002年、中東報道でボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『シャティーラの記憶――パレスチナ難民キャンプの70年』(岩波書店)、『イラク零年――朝日新聞特派員の報告』(朝日新聞社)、『現地発 エジプト革命――中東民主化のゆくえ』(岩波ブックレット)、『イスラムを生きる人びと――伝統と「革命」のあいだで』(岩波書店)、『中東の現場を歩く――激動20年の取材のディテール』(合同出版)、『「イスラム国」はテロの元凶ではない――グローバル・ジハードという幻想』(集英社新書)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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