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スペインのコロナ対策に「独裁」批判 コロナ長期化の中での政治に必要なものは

非日常が日常に変わる中でも「痛み」を忘れてはならない

武藤祥 関西学院大学教授

われわれは別のロックダウンに陥ってしまったのか

 マドリード自治大学法学部教授でスペインを代表する政治学者・政治理論家であるF.バリェスピン氏は、今年5月29日に本サイトに掲載された論考「今必要なものは、脆い世界に立ち向かうための熟議デモクラシーだ」で、コロナウイルスのパンデミックが、世界規模での連帯をもたらす奇貨となることへの希望を論じていた。

 しかし、「新しい日常」(※最初の非常警戒体制が解除された後の状態を、スペイン政府はこう表現した)の中でも「ポスト・コロナ」の政治が訪れず、「古い日常」である党派的対立が議会政治のみならず社会全体の分断をもたらしている。バリェスピン氏が11月2日に発表した論考「パンデミック下のコミュニケーション」には、そうした現実への失望が伝わってくる。少々長いが、バリェスピン氏の了承を得て以下に全文を引用しよう。

拡大フェルナンド・バリェスピン氏
 Covidの第一波の特徴が困惑と恐怖の融合であるとするならば、今回の第二波は気の滅入るノイローゼのあらゆる症状を見せている。ロックダウン初期の恐怖は、段階的解除によって緩和されていき、(一時は多幸感さえあった)、その後フラストレーションと落胆へと変わった。人は例外状況に慣れ、時には(例外状況を)生活習慣に取り入れることさえする。しかしこうした行為は「日常」に対する誤った感覚である。われわれは依然として
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筆者

武藤祥

武藤祥(むとう・しょう) 関西学院大学教授

1978年生まれ。立教大学法学部卒業。東京大学大学院法学政治学研究科修了。博士(法学)。立教大学法学部助教、東海大学政治経済学部准教授などを経て、2018年4月より現職。専門はヨーロッパ政治史(スペイン、ポルトガル)、比較政治。著書に『「戦時」から「成長」へ-1950年代のフランコ体制における政治的変容』(立教大学出版会)、『スペインの歴史を知るための50章』(共著、明石書店)など。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです