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 人はいろんな癖を持っている。その癖に気づいていても気づいていなくとも、その癖はその人の人生を何かしら物語っているのかもしれない。

 私は、文化には「目に見える文化」と「目に見えない文化」があるという考え方を知った時から、物事の見方が180度くらい変わった。それ以降、人から何気なく発せられる「文化」という言葉を聞く度、「彼女が言っているのは、可視的文化のことだな」とか、「この場合は、目に見えない文化の事を問題にしているな」とか一人で考え分析するのが面白く、ほぼ癖になっている。

 目に見えない文化とは、簡単に言うと、考え方や行動パターンのことだ。考え「方」や行動「パターン」は、その人の置かれた環境で、長い年月をかけて形成されてきたものであるから、その人個人の文化だと考えるのである。

 こう考えると、人間一人ひとりに個々の文化(考え方・行動パターン)が存在することになり、当然、私と私の弟でも文化は異なるということになる。同じ親の元で育っても、私と弟を取り巻く人間関係などの環境は当然異なっていたわけで、従って当然異なる文化を形成してきたのである。

 永田町文化、教師文化、学校文化、などという言葉を聞いたことがあると思う。永田町独特の行動パターンだったり(つまりそれは特有の考え方から派生しているのだが)、教師には教師特有の考え方や行動パターンがあったりすると言えば、目に見えない文化というものもピンと来るのではないだろうか。

拡大ann131313/Shutterstock.com


筆者

藏重優姫

藏重優姫(くらしげ・うひ) 韓国舞踊講師、仁荷工業専門大学語学教養学科助教授

日本人の父と在日コリアン2世の間に生まれる。3歳からバレエ、10歳から韓国舞踊を始め、現在は韓国にて「多文化家庭」の子どもを中心に韓国舞踊を教えている。大阪教育大学在学中、韓国舞踊にさらに没頭し、韓国留学を決意する。政府招請奨学生としてソウル大学教育学部修士課程にて教育人類学を専攻する傍ら、韓国で舞台活動を行う。現在、韓国在住。日々の生活は、二児の子育て、日本語講師、多文化家庭バドミントンクラブの雑用係、韓国舞踊の先生と、キリキリ舞いの生活である。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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