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兵役延期「BTS法」について、韓国の若者に聞いてみた

世界と韓国国内に温度差?

伊東順子 フリーライター・翻訳業

「世界が一時停止」する中で、タイム誌が選んだ「今年の人」

 米国のタイム誌が12月10日(現地)、2020年の「今年のエンターテイナー」にBTSを選出したという。8月に発売された「Dynamite(ダイナマイト)」が、韓国人アーティストとしては初めて米ビルボード・シングルチャートの1位を獲得。新曲「Life Goes On」も、11月30日に初登場1位を飾った。グラミー賞の候補にも挙がっており、この1年はまさに「彼らの年」になったといえる。

 「世界が一時停止し、誰もが人とのつながりに苦しんだ年、彼らは成功を収めた」「パンデミック下、世界的な閉鎖と人種差別反対運動の中で、彼らと世界のファンの絆は深まっていった」「彼らはK-POPグループの中では珍しく、反体制的でもあった」「彼らはLGBTQ+の権利について公然と発言し」「そして、彼らは髪をパステルカラーに染めたり、互いの腕をからめあったり、よりニュートラルな『男性のカタチ』を作り出した」……(「タイム」)

 タイム誌は彼らが2020年という年を最も代表するエンターテイナーとなった理由を、数字に現れた爆発的な結果とともに、世界的なパンデミックと人種問題という今年の二大イッシューで説明している。さらに彼らと世界のファンとの「水平的な関係性」は確かに新しく画期的なものであったと、こちらも絶賛している。韓国で生まれた「少年たち」は本当にビッグになってしまった。

/Shutterstock.com拡大「タイム」誌で「今年のエンターテイナー」に選ばれたBTS Silvia Elizabeth Pangaro/Shutterstock.com

 彼らについては、日本の若者たちの「気づき」も早かった。あれは5年前、2015年だったと思う。

 「バンタンのグッズを友だちに頼まれた」

 日本から韓国に遊びに来た中学生の姪っ子に言われた。バンタンとはBTSの「本名」である「防弾少年団」(バンタンソニョダン)の略。本国である韓国はもちろん、日本の若者も彼らを「バンタン」と呼んでいた。

 姪っ子はジャスティン・ビーバー好きの洋楽ファンでK-POPにはあまり関心がなく、私もそちらの流行には遅れていたが、さっそく韓国の街に「バンタン」を探しに行ってみた。そう言われて注意してみると街に彼らのポスターや音楽はあふれており、韓国の友人の子どもたち(当時、小中学生)なども目をキラキラさせながら「オッパのすごさ」について語ってくれた(オッパとは韓国語で「お兄さん」という意味。韓国では年上のスターをそんなふうに呼ぶ)。

 すごい子たちが出てきたと、遅ればせながら私自身も関心をもつことになったが、まさかここまで世界的なスターになるとは思わなかった。

 ちなみにBTSが正式な名称となったのは2017年だという。その防弾少年団の英語表記Bangtan SonyeondanがBTSと略されて英語圏などでも爆発的な人気となり、日本でもBTSという呼び方が一般的になった。あの頃の中学生はそろそろ大学生。「BTS法」について韓国の若者の反応を知りたいという依頼をうけて、久しぶりに彼らに質問をぶつけてみた。


筆者

伊東順子

伊東順子(いとう・じゅんこ) フリーライター・翻訳業

愛知県豊橋市生まれ。1990年に渡韓。著書に『韓国カルチャー──隣人の素顔と現在』(集英社新書)、『韓国 現地からの報告──セウォル号事件から文在寅政権まで』(ちくま新書)など、訳書に『搾取都市、ソウル──韓国最底辺住宅街の人びと』(イ・ヘミ著、筑摩書房)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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