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大統領選で敗北確定、だが今後も続くトランプ政治の「長い影」

アメリカは多様で統合された国であり続けられるのか?

三浦俊章 朝日新聞編集委員

起きなかったブルー・ウェイブ

 民主党は今回の選挙で「ブルー・ウェイブ」を期待していた。ブルーは民主党のシンボル・カラーである。つまり、民主党支持が巨大な波となって、同党が大統領選と議会選の双方で大勝利を得るという期待だった。

 10月から11月3日の投票直前まで、様々な世論調査が、民主党のバイデン候補の大きなリードを伝えていた。全米レベルでも、9ポイント、中には10ポイントの差をトランプ氏につけていた。激戦州もほとんどで優位を保っていた。民主党関係者の間では「ランドスライド(地滑り的勝利)」という声がささやかれていた。

 期待はふくらんだ。獲得できる大統領選挙人(全538人)は350人以上、いやひょっとしたら400人台に乗るかもしれない。上院の多数派を取り戻すのも確実だ。前回2018年の中間選挙で多数派となった下院でも、15議席か20議席くらい上積みが期待できるだろう……。

 だが、それはあまりにも甘い見通しだった。

 確かに大統領選はバイデン氏が勝った。306対232という選挙人数の差、それから一般投票の700万という差は小さくない。

 だが、議会選は民主党にとっては大きな失望だった。上院は、ジョージア州の2議席が1月の決選投票に回ったのでまだ確定しないが、現時点では1議席取り戻しただけで共和50、民主48である。もっとショッキングだったが、楽勝と思われた下院で、共和党が10議席取り戻し、222対211と差を詰められたことだった。

 共和党の幹部、議員らからすれば、これは、共和党の政策が間違っていたわけではないという自信になる。おそらく次のような思いが、彼らに胸に去来しているのではないか。

 トランプ大統領という、精神的に不安定な品のない指導者を担いだのが過ちだった。有能な、賢く振る舞う指導者ならば、もっとうまくやれるだろう。トランプ政権の方向性は間違っていないのだ、と。

 移民を攻撃し、多様な社会を認めず、「法と秩序」を訴える。既存秩序に挑む中国を声高に非難はするが、肝心の国際秩序には無頓着。旧来の同盟を軽視してもアメリカ第一主義を貫く。こうしたトランプ大統領が掲げた政策は今後も有権者にアピールする、と共和党が考えても不思議ではない。

 トランプ大統領は2024年の大統領選に再出馬

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筆者

三浦俊章

三浦俊章(みうら・としあき) 朝日新聞編集委員

朝日新聞ワシントン特派員、テレビ朝日系列「報道ステーション」コメンテーター、日曜版GLOBE編集長などを経て、2014年から現職。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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