円より子(まどか・よりこ) 元参議院議員、女性のための政治スクール校長
ジャパンタイムズ編集局勤務後、フリージャ―ナリスト、評論家として著書40冊、テレビ・講演で活躍後、1992年日本新党結党に参加。党則にクオータ制採用。「女性のための政治スクール」設立。現在までに100人近い議員を誕生させている。1993年から2010年まで参議院議員。民主党副代表、財政金融委員長等を歴任。盗聴法強行採決時には史上初3時間のフィリバスターを本会議場で行なった。
菅義偉総理が打ち出す不妊治療の推進がますます女性を追い込むことがないように
「コロナ後」の新しい世界の社会経済システムを考え直す「グレート・リセット」の観点から、女性にからむ様々な問題を取り上げる連載「『グレート・リセット』と女性の時代」。2回目の今回は女性が子どもを産むことについて論じます。
いろいろな人がいて、いろいろな生き方があっていい、とよく言われます。でも、それが許されないような社会が厳然とあるから、ことさらに「多様性が大事」と言っているようにも見えなくもない。
たとえば、LBGTの人が結婚して子どもを育てることを受容しない声が少なくないのは、人々の意識の中に「アンコンシャス・バイアス」、つまり無意識の偏見があるからです。そしてこれは、いろいろな生き方の阻害要因になっています。
もちろん、LGBTの人には生産性がないと言った人は、国のためには生産性を上げることが大事だという、彼女なりの国への善意から、そういう発言をしたのかもしれません。ただ、この善意が曲者です。往々にして、狭い視野に基づくものが多い。
「タンタンタンゴはパパふたり」という絵本があります。イギリスなどヨーロッパの保育園で子どもたちに大人気と言うこの絵本で、タンゴという名のペンギンの子どもの家庭はパパが二人います。男女のカップルでなくても子どもを育て、家庭を営んでいることを、幼いうちから知っているのは、偏見を無くしていく上で重要なことです。
菅義偉総理が不妊治療に助成することを打ち出し、高額の治療費に悩む人たちに朗報となっています。これは確かに善意からのものでしょう。ただ、この善意が産めない人への大きなプレッシャーになってもいるのです。
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