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コロナ禍における日仏首脳の会食にみる文化的・政治的差異

新型コロナ感染のマクロン仏大統領。陽性判明前夜の与党幹部らとの会食が判明し……

山口 昌子 パリ在住ジャーナリスト

「誰でもかかる」「消毒ジェルは常にそばに」

 テレビニュースを見ると、マクロンはこれらの会合でマスクは着けているが、出席者とは握手こそしていないが、肩を叩き合ったりの濃厚接触を繰り返している。マクロンのこうした態度からは、「まさか、自分が感染する」とは思っていなかったことは明瞭だ。

 隔離後のネット会見では、「誰でもかかる」とコロナの感染度の高さを指摘するとともに、「(手洗い用の)消毒ジェルを常にそばに置いていた」などと十全な対策を行っていたことを強調した。

 極左政党「服従しないフランス」のメランション党首から、「誰でもがコロナに感染するお手本だ」と皮肉られたマクロンは、12月21日に43歳になった。フランスでは40代はまだ「若者」だ。

 フランスの若者は「コロナには罹(かか)らない、罹っても軽症」と、会費制の秘密パーティーなどを開いている。実際、50ユーロ(1ユーロ=約125円)の会費で約500人が倉庫などに集まった飲食を伴うディスコ式パーティーがバレて、主催者に5万ユーロの罰金が科せられた例もある。

 2017年に続き、2023年の大統領選でマクロンのライバルになると見られる極右政党「国民連合」のルペン党首は、「後遺症がないことを祈る」と嫌味たっぷりの声明を発表した。新型コロナがインフルエンザと異なるのは、「記憶や味覚、臭覚の消失、息苦しさ」などの後遺症があることだ。

拡大マクロン仏大統領  vasilis asvestas/shutterstock.com

「会食」自体への批判はなし

 メディア各社は16日の夕食会について、マクロンにすでに症状が出ていた可能性があるため、「不注意」と批判しているが、コロナ禍の最中に「私的会食」をエリゼ宮(大統領府)で開催したこと自体への批判はない。

 出席者の一人であるカスタネ―ル前内相(政権党の「共和国前進」党首)も、食卓では「社会的距離(1メートル)厳守」「マスク必着」を強調したが、会食開催に関しては言及も弁護もなしだ。

 日本人の間で「フランスでは胃と肝臓が丈夫でなければ、駐在員は務まらない」と言われるほど、フランスでは会食と仕事が密接に結びつく。菅首相のステーキ会食も、

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筆者

山口 昌子

山口 昌子(やまぐち しょうこ) パリ在住ジャーナリスト

元新聞社パリ支局長。1994年度のボーン上田記念国際記者賞受賞。著書に『大統領府から読むフランス300年史』『パリの福澤諭吉』『ココ・シャネルの真実』『ドゴールのいるフランス』『フランス人の不思議な頭の中』『原発大国フランスからの警告』『フランス流テロとの戦い方』など。

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