阿部 藹(あべ あい) 琉球大学客員研究員
1978年生まれ。京都大学法学部卒業。2002年NHK入局。ディレクターとして大分放送局や国際放送局で番組制作を行う。夫の転勤を機に2013年にNHKを退局し、沖縄に転居。島ぐるみ会議国連部会のメンバーとして、2015年の翁長前知事の国連人権理事会での口頭声明の実現に尽力する。2017年渡英。エセックス大学大学院にて国際人権法学修士課程を修了。琉球大学客員研究員。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
「国際問題に発展させ、沖縄人を人間として認めさせる」という青年の叫びは…
沖縄本島中部の沖縄市。かつて「コザ市」と呼ばれていたこの街のメインストリートに、12月20日まで一台のひっくり返った黒塗りの車両が展示されていた。「POLICE US ARMY」の文字が書かれたこの車は、コザ騒動で群衆によってひっくり返された米軍警察の車を再現したものだ。
今から50年前の12月20日未明、米軍嘉手納基地の門前町だったコザ市で米兵が起こした交通事故をきっかけに、それまでの数限りない米軍関係者による交通事故、犯罪、性暴力、それらの加害者に対する不処罰、事故、人権蹂躙によって沖縄に充満していた人びとの怒りが爆発した。怒った群衆によって米軍関係車両80台以上が焼かれ、一時は群衆が嘉手納基地内にまで入り込んだ。コザ暴動、コザ蜂起とも呼ばれる事件である。
ひっくり返った車両はコザ騒動を記憶し、その意味を再度問いかけるために大学生らが企画したパフォーマンスの一部だった。他にもシンポジウムが開催されたり、県内新聞社に特集記事が連載されたりしたほか、テレビでも特集番組が放送されるなど、沖縄ではコザ騒動から50年の節目に改めてこの出来事を考え直す機運が高まっている。
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