花田吉隆(はなだ・よしたか) 元防衛大学校教授
在東ティモール特命全権大使、防衛大学校教授等を経て、早稲田大学非常勤講師。著書に「東ティモールの成功と国造りの課題」等。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
デジタルがアナログを駆逐することはない、両者はいかに棲み分けていくか
しかし、やってみればテレワークに多くの利点があることが分かった。テレワークとは、「移動」が所与の条件でないということだ。これは大きい。
これまで我々は、空間を移動して活動することを当然のことと考えていた。コロナはそれに疑問を呈し、「空間の距離」が絶対の条件でないことを示した。今、人は「空間的距離」を考えずに活動できる。
その結果、オフィスの意味が問い直され、地方在住のまま都心の勤務が可能になった。無論、テレワークには揺り戻しがある。コロナが一服した夏ごろ、テレワークから通常のオフィス勤務へ回帰する向きも多くあった。しかし、一度味わった蜜の味は忘れられない。長期の大きな流れとして、テレワークを否定し去ることはもはやできない。我々は昨日の世界に戻ることはない。
テレワークとかオンラインが「移動」の意味を問い直したことは大きい。例えば、我々は、長時間かけ地方から都心の会議室に集まる必要がない。全国どこでも、離れた場所からオンラインで会議に参加できる。やってみればこんな便利なことはない。今まで半日仕事だった会議への出席がほんの一時間で済む。移動に要する時間が大幅に短縮だ。
会議といっても色々だ。ひざを突き合わせた、対面での会議でなければこなせない議題もあるが、逆に、会議をしたこと自体に意味があるのも多い。こういう形式的なもののため、半日かけて集まることの非効率は改めて説明の要がない。オンラインはこの非効率を一気に解消した。