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オンラインが変える対面の世界

デジタルがアナログを駆逐することはない、両者はいかに棲み分けていくか

花田吉隆 元防衛大学校教授

オンライン授業が思わぬ効果

 春、オンライン授業をいきなりやれと言われた多くの教師は面食らった。やむを得ず見よう見まねで取り組み、何とか一年が過ぎた。冷や汗ものだ。当初、オンライン授業は対面を代替するものではない、教室でじかに学生と触れる機会こそが何物にも代えがたい教育と思っていた。今も、その考えに変わりないが、オンラインが思わぬ効果を持つことも知った。

 第一に、学生は大学の所在地にいる必要がない。学生は全国津々浦々に居ながらにして遠隔の大学に通学できる。例えば、どうしても実家から離れることができず、やむを得ず地方に在住する学生も、都心の大学に通うことができるようになった。学生は日本にいることすら必要でない。世界中から受講が可能だ。無論、時差があるから、ニューヨーク在住の学生は日本時間の早朝に開講される授業しか受けられない。しかし、早朝の授業なら地球の裏側からの参加も可能だ。今、世界中の学生は、無限の留学の可能性を手にすることとなった。

 第二に、リカレント教育の可能性も広がった。高齢化社会にあって学び直しは重要だ。マーケットにはその大きな需要がある。ということは、少子化による学生数の減少は、社会に出てから学び直すリカレント教育の需要で穴埋めできるということだ。

 オンラインは、通学時間を気にせず空いた時間を利用しコンパクトに学習することを可能にする。仕事をテレワークで片づけ、

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筆者

花田吉隆

花田吉隆(はなだ・よしたか) 元防衛大学校教授

在東ティモール特命全権大使、防衛大学校教授等を経て、早稲田大学非常勤講師。著書に「東ティモールの成功と国造りの課題」等。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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