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宇宙空間の地政学:その覇権争奪

民間企業や個人投資家も巻き込んで宇宙の仁義なき開拓闘争の到来か

塩原俊彦 高知大学准教授

先駆的なルクセンブルク

 実は、民間企業が宇宙開発に乗り出す場合、いったいだれが宇宙で開発した資源や資産を保護してくれるのかという問題が生まれる。通常、占有権と処分権からなる所有権は各国政府によって保障されているが、宇宙での開発がもたらす権利がどう保護されるかについてはまったく曖昧であった。そこに目をつけたのがルクセンブルク政府である。

 2016年になって、ルクセンブルク政府は「宇宙資源イニシアチブ」を発表する。同政府は宇宙資源の探査・利用において主導的な役割を果たすことで同国への投資家や革新的企業を誘致することをねらって、その管轄下で探査された宇宙資源が平和目的であり、人類の恩恵のために国際法と両立する持続可能な方法で収集・利用されることを保証するというのだ。このイニシアチブは、ルクセンブルクの宇宙部門の既存の専門知識や将来のハイテク産業への経済的多様化戦略に基づいて、高度な研究活動および技術力の支援のもとに構築されている。そのために、宇宙庁が2018年9月に設立された。

 さらに、2017年には、民間企業が

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筆者

塩原俊彦

塩原俊彦(しおばら・としひこ) 高知大学准教授

1956年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。学術博士(北海道大学)。元朝日新聞モスクワ特派員。著書に、『ロシアの軍需産業』(岩波書店)、『「軍事大国」ロシアの虚実』(同)、『パイプラインの政治経済学』(法政大学出版局)、『ウクライナ・ゲート』(社会評論社)、『ウクライナ2.0』(同)、『官僚の世界史』(同)、『探求・インターネット社会』(丸善)、『ビジネス・エシックス』(講談社)、『民意と政治の断絶はなぜ起きた』(ポプラ社)、『なぜ官僚は腐敗するのか』(潮出版社)、The Anti-Corruption Polices(Maruzen Planet)など多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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