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検針票のペーパーレス化を無理強いする身勝手な東電に喝

塩原俊彦 高知大学准教授

 12月30日に公開した本記事の本文中、「東京瓦斯」とあったのは「日本瓦斯(ニチガス)」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。(編集部)

 「電気ご使用量のお知らせ(検針票)に関する重要なご案内」なるチラシが筆者の自宅にも届いた。東京電力の小売電気事業を担う東京電力エナジーパートナーなる会社が検針票とともに、契約件数の多い「従量電灯B」など規制料金プラン(電力自由化前から存在する一般的な料金プラン)の契約者宅の郵便受けに投函したものである。

 チラシには、「2021年2月分より、紙の検針票のお届けを終了し、電気料金・電気ご使用量などのご確認はWebにてお願いすることにいたしました」とある。ついては、パソコンまたはスマートフォンにより確認ページにアクセスしろというのだ。だが、QRコードはあっても、サイトのアクセス先が書かれていない。パソコンでアクセスしたければ、自分で調べろというのだから、開いた口が塞がらない。顧客の意志を無視した問答無用の「命令」のような印象を強く受ける。紙の検針票を希望する場合には、電話しろというのも、電力会社の身勝手な姿勢を示している。

東電は説明責任を果たせ

拡大筆者の東京の自宅に届いた東電のチラシ
 東電のねらいははっきりしている。東電だけで年間1億枚を超える紙の検針票を止めることでコスト削減をしたいのだ(後述するように、今後、人海戦術による検針自体をなくすことでコストを大幅に削減できる)。しかし、この点に関する説明がチラシには何もかかれていない。

 東電が受けるメリットに対して、顧客が受ける「機会損失」(いちいちパソコンやスマートフォンを使って料金や使用量を確認しなければならなくなるという時間に伴う経済上の損失)についての配慮がまったくない。本来であれば、検針票をなくすことに応じた顧客にその分、料金の一部値下げがあって然るべきだろう。顧客は機会損失に見合った補償を東電に要求できるはずだ。ところが、東電は問答無用のかたちで自分たちが勝手に決めたことを顧客に無理強いしようというのである。

 おまけに、今後も紙の検針票の継続を希望する者には、顧客のほうから連絡しろと強制している。しかも、今後、検針票希望者には、発行手数料110円を徴収しようとしているという東電の計画については、チラシには何も書かれていない。

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筆者

塩原俊彦

塩原俊彦(しおばら・としひこ) 高知大学准教授

1956年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。学術博士(北海道大学)。元朝日新聞モスクワ特派員。著書に、『ロシアの軍需産業』(岩波書店)、『「軍事大国」ロシアの虚実』(同)、『パイプラインの政治経済学』(法政大学出版局)、『ウクライナ・ゲート』(社会評論社)、『ウクライナ2.0』(同)、『官僚の世界史』(同)、『探求・インターネット社会』(丸善)、『ビジネス・エシックス』(講談社)、『民意と政治の断絶はなぜ起きた』(ポプラ社)、『なぜ官僚は腐敗するのか』(潮出版社)、The Anti-Corruption Polices(Maruzen Planet)など多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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