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国民にメッセージが届かなくなった政治

花田吉隆 元防衛大学校教授

メッセージを発する側の「訴える力」が落ちた

 どうしてこうなったか。

 「国民は、コロナの感染拡大に慣れてしまった」「既に、十分な感染対策をしている。今更、それ以上しろと言われてもしようがない」「手洗い、距離、マスクでコロナは防げるとの妙な自信が生まれた」等々、様々な解説がある。しかし、基本は、メッセージを発出する方の「訴える力」の問題だろう。訴える力が落ちた。

 なぜ、訴える力が落ちたか。政府自体が、「本気で訴えたい」と思っていない。

 政府の基本的態度は、感染防止と経済維持の両立だ。その姿勢こそがメッセージとして国民に伝わっている。急に勝負の3週間と言っても、国民に感染防止の本気度が伝わってこない。片や、政府は、補助金を出して国民に移動を奨励する、その裏で、例えば都知事が移動の自粛をと言っても、国民はどっちを向けばいいのか分からない。もし、政府が本気で勝負の3週間と言うなら、その時点でGoToの一時停止を発表すべきだった。感染防止と経済の両立は必要だが、今は軸足を感染防止に移すべき時だ、経済はひとまず置いて、感染防止に全力を挙げてもらいたい、と言えば、メッセージはそれなりに明瞭だ。それをせず、勝負の3週間といいつつGoToはそのまま、あるいは、札幌市と大阪市だけ止める、それも、入りだけ止め、ややあってやはり出の方もでは、国民誰もが、政府は本気で感染防止を求めてないと考えても不思議でない。

 その後、政府は、GoToの全国一時停止を発表した。遅きに失した。今となっては感染防止にどれだけ効果があるか。何より、人出は以前同様、減る兆しがない。年末という悪い時期にぶつかったこともあるが、政府のメッセージが訴える力を失ってしまったというのが事の真相だ。

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筆者

花田吉隆

花田吉隆(はなだ・よしたか) 元防衛大学校教授

在東ティモール特命全権大使、防衛大学校教授等を経て、早稲田大学非常勤講師。著書に「東ティモールの成功と国造りの課題」等。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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