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十数年ぶりの政変は到来するか 2021年政治の展望

右派・ソーシャルリベラル・ネオリベラルの三者鼎立の争いへ

木下ちがや 政治学者

崩れた「鉄の三角形」

 また安倍総理が「レジェンド」として継承を望んだ敵基地攻撃能力保有を見送り、徴用工をめぐる記述是正の指示を撤回した。さらには拙稿「限界ネトウヨと右翼ヘゲモニーの終焉」で指摘したように、菅総理は安倍政権の支持基盤であった右翼勢力を政権から遠ざけようとしている。極め付きは「桜を見る会」疑惑への検察の追及を容認したことだ。これは安倍の権威の切り崩しである。

 「長期政権がつづいたあとの政権は短命に終わる」ことの原因のひとつは、長期政権下で蓄積され安定化した支持基盤を継承・再編し、自前の基盤に再組織化するのが難しいからだ。しかも安倍は後継者の育成を阻止することで政権の長期安定化を確実にしてきた。党内支持層の信頼が厚い石破茂を上から制圧する一方、イデオロギーが一致する稲田朋美を後継に据えようとするなど、党内の力学とバランスを踏まえて後継者を選出してきたかつての自民党とは著しく異なる手法をとった。「安倍しかいない」という状況が求心力を生んだぶん、後継総理の基盤はますます不安定にならざるをえない。

 そもそも不安定なうえに、菅総理は与党内に派閥の基盤を持っていない。佐藤栄作後の田中、中曽根康弘後の竹下、そして小泉純一郎後の

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筆者

木下ちがや

木下ちがや(きのした・ちがや) 政治学者

1971年徳島県生まれ。一橋大学社会学研究科博士課程単位取得退学。博士(社会学)。現在、工学院大学非常勤講師、明治学院大学国際平和研究所研究員。著書に『「社会を変えよう」といわれたら」(大月書店)、『ポピュリズムと「民意」の政治学』(大月書店)、『国家と治安』(青土社)、訳書にD.グレーバー『デモクラシー・プロジェクト』(航思社)、N.チョムスキー『チョムスキーの「アナキズム論」』(明石書店)ほか。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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