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ブラック・エレファントに試される人類

新型コロナに揺れた2020年……検証と新年への展望

花田吉隆 元防衛大学校教授

「気候変動」「格差」……炙り出された社会の歪み

 我々が試されているのは気候変動でも同じだ。地球は悲鳴を上げ、それは今や誰の目にも明らかだ。最早一刻の猶予もなく、直ちに行動しなければならない。

 しかし、我々の欲望がこれに抵抗する。我々は、18世紀に始まる産業化の結果、巨大な果実を手にした。気候変動は、その代償だ。気候変動に取り組むことで、果実の一部を手放すことになりかねない。人類は、なかなかその覚悟を決められなかった。今ようやく、それではいけないとの認識が広がってきた。

 もっとも、我々は、気候変動への取り組みにより新たな果実を手に入れられるのではないか、と考えている。いずれにせよ、気候変動をもう一つのブラック・エレファントにしてはならない。

拡大スイス・ジュネーブの世界保健機関(WHO)本部で記者会見するテドロス・アダノム事務局長=2020年9月21日、国連のインターネット放送UNWebTVの映像から
 パンデミックは、現代社会の歪みを炙り出し、問題を加速したといわれる。現代社会の最大のひずみは格差だろう。

 格差は、2008年、リーマン・ショック以降急速に拡大し、現在のデジタル化が一層の拍車をかけている。今や、格差は我々の許容限度を越え、社会を維持不能にさせかねない勢いだ。実に、現在の資本主義の在り方そのものが問われているといっていい。資本主義は、自由競争という建前すら喪失したのではないか。

制度自体にメスを

 パンデミックは、世界が格差で軋みつつあるところを襲った。そして、格差をさらに広げた。驚くなかれ、このパンデミックのさなか、巨大テック企業のGAFAは4社で市場価値を対年初比45%増大させ、世界の超富裕層はその資産を2兆ドル積み増した。これに対し日経は、FAO報告書等をもとに、コロナで絶対的貧困層が1.3億人(最大値)増加すると試算する。

 今の制度が、格差是正に有効に対処できないとすれば制度自体にメスを入れねばならない。巨大テック企業の規制やベーシックインカム導入の試み、ESG投資の推進等、様々な動きが見られる。これもまた我々に突き付けられた待ったなしの課題だ。

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筆者

花田吉隆

花田吉隆(はなだ・よしたか) 元防衛大学校教授

在東ティモール特命全権大使、防衛大学校教授等を経て、早稲田大学非常勤講師。著書に「東ティモールの成功と国造りの課題」等。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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