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コロナ禍の中にも迫る米中「新冷戦」へ我が国の構えを

中山展宏 衆議院議員

米中デカップリングは不可避

 2015年、中国は半導体や5Gの次世代情報通信技術、デジタル制御の工作機械やロボット、省エネルギー・新エネルギー自動車やコネクテッドカー、先端新素材、バイオ医薬など重点10分野、23品目で製造強国への意欲を示した産業政策”中国製造2025”を標榜しました。加えて、2017年より軍民融合の国家体制と経済社会の持続的発展を目的とし、国内外の組織や個人に情報収集を強いることが可能な国家情報法が施行されました。

 他方、米国は中国による強制的な技術移転、知的財産権の侵害、国有企業への優遇策などを憂慮し、安全保障に関する予算や運用へ法的根拠を与える国防権限法(NDAA)と連動し、2019年から矢継ぎ早に輸出管理改革法(ECRA)、外国からの投資の審査を厳格化する外国投資リスク審査現代化法(FIRRMA)などの体系を整えました。バイオ、先端材料、半導体、AIやデータ分析技術、ロボット、脳とコンピュータを繋ぐブレイン・コンピュータ・インターフェース、量子情報、顔認証や声紋認証技術など、中国の戦略分野を網羅する先端基盤技術14分類47項目において輸出制限を強め、空港や港湾、軍事機密施設の近隣などの外国人による不動産取得を防ぐ措置もおこなっています。

 現在、米国は商務省が示すエンティティ・リスト(安全保障上の懸念から禁輸対象とする企業一覧)に載る企業への、米国製品はもとより米国由来の技術やソフトウェアを使った物品の輸出や再輸出、米国内の外国人へ開示する”みなし輸出”においても事前許可を求めています。この輸出規制が半導体メモリ大手の株式上場延期をはじめ日本企業の経営環境に影を落とす中、2020年12月、中国も相対する輸出管理法を施行、中国版エンティティ・リストを導入しました。

 米国は、特に先端基盤技術や知的財産、情報ネットワークの運用について、いわゆるファイブアイズである英・加・豪・ニュージーランド、貿易や投資における安全保障上のホワイト国、価値観を共有し信頼構築できる国々との間で制御しようとする傾向が顕著になってきています。

拡大Poring Studio/Shutterstock.com

 一方の中国は、中長期の経済発展戦略として、安全保障環境が極端な状況でも自国内で完結する供給体制を確立するとともに、グローバルサプライチェーンが中国抜きでは機能しないメカニズム、すなわち中国への依存度を高めていく”拉緊”を目指し、内需と外需による”双循環”という考えを打ち出しました。最近では、政府調達における外資規制、自国製を推奨する排外的な安可目録(信創目録)が存在し、中国企業と外資企業との取引においても準拠されることが懸念されています。

 翻って、ご存じの通り、我が国の中国との輸出入総額は、米国より遥かに巨額となっています。

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筆者

中山展宏

中山展宏(なかやま・のりひろ) 衆議院議員

1968年兵庫県西宮市生まれ、早稲田大学大学院中退。証券会社社員、議員秘書を経て、2009年に神奈川9区(川崎市北部)から初出馬。2012年に初当選、衆議院議員3期(自由民主党・麻生派)。外務大臣政務官など歴任、現在は衆議院内閣委員会理事、自民党外交部会長代理、ルール形成戦略議員連盟事務局長ほか。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです