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登山家・田部井淳子の政界への意欲をくじいた男社会の日本政治 どう変えるか?

男社会の山登りの世界を独力で切り開いたガッツある女性は政治の何に失望したのか

円より子 元参議院議員、女性のための政治スクール校長

サッカー、レスリングを女性もする時代に

 女性の生きる選択肢を増やしたいと思っていた、また、環境問題にも心を痛めていた田部井さんと参議院でタッグを組めたら、面白かっただろうなと今でも思います。

 田部井さんがエベレスト登頂に成功したのは1975年のことですが、その後、日本女性が成功するまで、なんと21年の歳月が流れています。まだまだ、山登りは男の世界なのでしょうか。

 1964年、バレーボールで金メダルを取って、東洋の魔女と騒がれた、あの輝かしい東京オリンピックでは、全選手中、女性は13.2%しかいなかったそうです。選手だけではない。カメラマンも女性が少なく、女子の選手村に入れるカメラウーマンを探すのに苦労したとか。

 女性がオリンピックに参加したのは1900年からで、997人の選手中、女性は22人、たった2.2%でした。それから比べると、延期になった今年の東京オリンピックは48.8%も女性がいますし、2024年のパリオリンピックは初めて男女同数にするそうです。

 子どもの頃、男の子より、駆けっこも早いし、跳び箱もできるのに、運動会で騎馬戦をやらせてもらえないのが不満でした。今や、サッカーだって、レスリングだって女性もできる。時代は少しずつ動いています。

拡大Seita/shutterstock.com

「男のもの」と決めつけずに

 囲碁や将棋も男の世界のように言われ、女性は力不足、男性にかなうわけがないとみなされてきました。しかし、昨年11月、30歳以下、7段以下の若手棋戦で、藤沢里菜女流名人が、男女競合の囲碁の公式戦で史上初の女性覇者となりました。

 私もたしなむ囲碁ですが、男女の開きが大きく、なかなか女性の囲碁人口が増えません。ただ、スポーツと同じで、才能に男女差はないのですから、裾野が広がれば、囲碁や将棋の世界で活躍する女性も増えるに違いありません。

 政治も同じ。政治は「男のもの」ときめつけず、子どもの頃から、家庭や学校で話し合い、授業の一環で、各陣営の選挙事務所を見に行くくらいしても面白いのに、と思います。

 子どもの暮らしにも政治は直結していることを、子どもの頃から知っておく権利があります。子どもを産む段になって初めて、保育園が足りないこと、保育士さんの給料が安くて人員不足なことを知っても遅い。

環境が変われば女性が進出しやすく

 囲碁の世界で、なかなか女性棋士が増えず、強くなれないのは女性の囲碁人口が少ないだけでなく、棋士養成の内弟子制度が女性に馴染みにくいとも言われていました。今はネット碁が普及し、アクセスも容易になったし、通い弟子が主流になり、女性が進出しやすくなったそうです。

 ある女性議員の話ですが、忘年会、新年会が町内会ごとにあり、それに全部参加していたが、この年末年始はコロナのおかげで全部なくなって、やっと家族とも時間が持てたと。他党の議員が顔を出しているのに、自分だけ行かないと何を言われるかと、不安なんですね。票も減ると考えてしまう。

 こうした有権者との付き合い方も、幼い子どもを育てている女性には、政治から遠ざかる理由になります。選挙の費用だけでなく、当選後の議員の生活環境も、「支える妻=ケアワーカー」がいて初めて成り立つようなあり方を変えていけば、政治の世界に入る女性の裾野が広がるかもしれません。

拡大2018年5月16日、参院本会議で政治分野における男女共同参画推進法が可決・成立したが、女性の政治への進出はなかなか進まない

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筆者

円より子

円より子(まどか・よりこ) 元参議院議員、女性のための政治スクール校長

ジャパンタイムズ編集局勤務後、フリージャ―ナリスト、評論家として著書40冊、テレビ・講演で活躍後、1992年日本新党結党に参加。党則にクオータ制採用。「女性のための政治スクール」設立。現在までに100人近い議員を誕生させている。1993年から2010年まで参議院議員。民主党副代表、財政金融委員長等を歴任。盗聴法強行採決時には史上初3時間のフィリバスターを本会議場で行なった。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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