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慰安婦訴訟「敗訴」を「決まりですから」の一言で片付ける菅首相

市川速水 朝日新聞編集委員

 旧日本軍の慰安婦だった韓国人女性12人が日本政府に対して損害賠償を求めた訴訟で、2021年1月8日、韓国のソウル中央地裁は原告の訴えを認め、日本政府に1人あたり1億ウォン(約950万円)の賠償金を支払うよう命じた。

 敗訴した日本政府が判決に不服な態度を見せたのは当然として、驚いたのは菅義偉首相の記者団に対するコメントだ。

 「国際法上、主権国家は他国の裁判権には服さない。これは決まりですから。そういうなかで、この訴訟は却下されるべき、このように考えます」

 決まりですから? 誰がどう定めた決まりなのか説明がないまま、そう断じた。

 さらに、この判決が日韓関係のさらなる冷え込みにつながるのではないか、という記者の質問に対してこう答えた。

 「まず、この訴訟は却下されるべき。そこから始まる」

 日韓対話は「却下」が前提なのか。新型コロナ対策も福島周辺海域の汚染水対策も農産物禁輸問題も、半導体輸出制限問題も、日韓間の課題は山積しているのに、「却下」判決がないと対話のテーブルにつけない……。そう受けとれられても仕方がない口ぶりだ。

拡大記者団の質問に答える菅義偉首相=2021年1月8日、首相官邸

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筆者

市川速水

市川速水(いちかわ・はやみ) 朝日新聞編集委員

1960年生まれ。一橋大学法学部卒。東京社会部、香港返還(1997年)時の香港特派員。ソウル支局長時代は北朝鮮の核疑惑をめぐる6者協議を取材。中国総局長(北京)時代には習近平国家主席(当時副主席)と会見。2016年9月から現職。著書に「皇室報道」、対談集「朝日vs.産経 ソウル発」(いずれも朝日新聞社)など。

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