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「自爆」したトランプ大統領~アメリカ史上初の2度目の弾劾訴追

悪夢は終わるのか、別の悪夢が始まるのか

三浦俊章 朝日新聞編集委員

議事堂襲撃・占拠事件へ、共和党が歩んできた道

 この4年間にアメリカで起こったことを振り返ってみると、その変化の激しさに目がくらむ思いがする。

 2016年秋の選挙で、共和党はホワイトハウスを奪取したばかりか、上下両院の多数を制した。完全勝利だった。それが4年後の選挙では、ホワイトハウスを失ったばかりか、余裕で勝利すると思われていたジョージア州の上院決選投票でさえも、根拠のない「選挙不正」を訴え続けるトランプ大統領の混乱した戦術の結果、2議席とも失った。2年前の中間選挙で失い、今回も取り戻せなかった下院と合わせると、この4年間で総崩れを起こしたのだ。

 これほどの政治的な大敗は、通常ならば敗北した政党に根本的な再建を迫ることになる。ましてや、今回の敗北が半世紀にわたって共和党が進めた保守路線の破綻であることを考えると、ゼロからの立て直しの道しかないはずだ。

 ここで共和党の大統領選の歴史をざっと振り返ってみる。

 1968年、1972年の大統領選ではニクソンが、黒人差別を撤廃した公民権運動に反発する南部の白人保守層を取り込んで勝利した。1980年、1984年の大統領選ではレーガンが、リベラルが推し進める多文化主義に反発するキリスト教保守を票田として大勝した。2000年、2004年の大統領選でも、ブッシュ(ジュニア)は、南部の保守層の支持を得て勝ち抜いている。いっぽう政権を失ったオバマ時代は、共和党は原理的な保守主義者である「ティー・パーティー(茶会)」に頼り、中間選挙での巻き返しに成功する。

 そのときそのときに共和党が取った戦略は、その時点ではうまくいった。

 しかし、大きな誤算があった。アメリカ社会が、どんどんと多民族化していき、白人だけの支持ではもはや多数にはなれない時代が到来していたのだ。今回を含む過去8回の大統領選の一般投票の総数で、共和党が民主党を上回ったことは1回しかないことがそれを示している。

 本来は、多様な人種、そしてリベラルに傾斜する若者への対策を練るべきだったのだが、共和党はそういう道を取らなかった。逆に、保守層への傾斜を強めた。自らの堅い支持基盤に集中する戦術を取った。トランプ大統領にいたって、それまでは決してアメリカの政治の主流では認められなかった白人至上主義者に

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筆者

三浦俊章

三浦俊章(みうら・としあき) 朝日新聞編集委員

朝日新聞ワシントン特派員、テレビ朝日系列「報道ステーション」コメンテーター、日曜版GLOBE編集長などを経て、2014年から現職。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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