大濱﨑卓真(おおはまざき・たくま) 選挙コンサルタント
1988年生まれ。青山学院大学経営学部中退。2010年に選挙コンサルティングのジャッグジャパン株式会社を設立、現在代表取締役。衆参国政選挙や首長選挙をはじめ、日本全国の選挙に与野党問わず関わるほか、「選挙を科学する」をテーマとした選挙に関する研究も行う。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
コロナと五輪と政治【1】ワクチンは間に合う?世界中の国は参加できる?迫る時間……
G7全体に目を向けると、ワクチン接種の件数はそれでも米国がリードしており、英国が続きます。さらにイタリア、ドイツが100万回を超え、カナダが約50万回、フランスが約38万回です。これに対し、日本はいまだにゼロです。(Our World in Data※ワクチン接種回数で計算しており、複数回接種の場合を考慮していないので接種を受けた人の実数はより少ない可能性がある )
確かに、日本は他のG7の国々と比べると感染拡大が抑えられてはいるものの、日本では接種開始が2月中旬以降になることを考えれば、ワクチン接種が他国より“周回遅れ”となることは明らかです。
また、フランスでは、世論調査に「ワクチンを接種する」と答えた人が4割であったと報道されており、今後のワクチン普及の支障になるとも言われています。一方、日本ではワクチンを接種することを希望する人の割合が6割程度ですが、接種開始の遅れもあり、集団免疫の獲得という最終的なゴールに早期にたどり着くまでには、時間がかかりそうです。
当初2020年に予定されていた東京五輪ですが、これが延期になった経緯はまさに急転直下でした。
20年3月12日に聖火リレーの採火式が始まったものの、翌13日にはトランプ米大統領(当時)が「無観客は想像できない。1年延期したほうがよいのではないか」と発言したことで風向きが変わります。3月20日以降、東北地方で聖火到着式や展示が行われましたが、3月22日にはカナダが2020年夏に五輪が開催された場合は選手団を派遣しない意向を表明、23日にはオーストラリアも同様の表明をしたことが決定打となり、24日に安倍首相(当時)とIOCバッハ会長との電話会談で延期が決まりました(2021年の五輪日程はこの後に別途協議で決定)。
このときのバッハ会長のコメントに、「感染が世界中に広がり、問題は日本がどうかというより、世界中の国が参加できるかどうかに変わってきた」というくだりがありました。開催国の日本だけでなく、世界中の国が参加できるかどうかという視点をIOCが重要視していたのであれば、2021年夏の五輪開催可否も当然この点が判断材料になってくることでしょう。
前回、選手団を送らないことを表明したオーストラリアでは、まだワクチン接種がはじまっておらず、厳格な入国管理制限などを行っていることからも、今回も同様の厳しい態度が予想されます。そもそもワクチンの接種は、欧米など先進国を中心に始まったばかりであり、開発途上国などのワクチン接種や集団免疫の獲得には年単位の時間が必要との予測もあります。