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女性が仕事と出産を両立できる社会をつくる妙案あり~責任は政治にあり

女性たちは悩んでいる。「マタハラ裁判」の悲劇を繰り返さないために

円より子 元参議院議員、女性のための政治スクール校長

第1子出産後、仕事を辞める人が6割

 けれど世の中は、せっかく子どもを授かったのに、その嬉しさと引き換えに仕事を失う人が多いのが実情です。統計によると、第一子の出産後、仕事を辞める人が6割もいるのです。

 夫の収入だけで食べていけるし、子育てと仕事の両立はちょっとしんどいと、自ら退職を選ぶ人ももちろんいるでしょう。でも、両立はしんどいと思う人の中にも、週3日だけとか、1日4時間の勤務で補充の人員もいて、職場に気兼ねしないですむのなら、働き続けたかった人は多いのではないでしょうか。

 また、育児休暇後に保育園にスムーズに入所できていれば、退職しなかった人も少なくないと思います。

拡大studiolaut/shutterstock.com

最高裁で敗訴した「マタハラ裁判」

 2020年12月、「マタハラ裁判」とよばれ、一審では訴えていた女性が勝訴したものの、高裁で敗訴となり、メディアでも話題になった裁判が、最高裁で女性側の敗訴決定で終わりました。

 裁判の流れをかいつまんで説明しましょう。語学スクールに勤務していたAさんは、第1子が生まれたものの1年の育児休暇が終わっても保育園が見つからず、さらに半年、休暇を延ばしました。しかし、それでも無理で、正社員から契約社員になることになりました。

 ところが、その後すぐ保育園が見つかり、正社員に戻して欲しいといったところ、既に、英語教師のクラス編成などを済ませていた会社側はすぐにはできないと拒否。しかし、40万以上の収入が4分の1になったAさんは、契約社員になる時、正社員に戻れると書いてあったことから、労働局や個人加入の組合などに相談。訴訟にと発展したのでした。

 高裁や最高裁では、育休明けに正社員から契約社員になったことは、マタハラに当たらないとされました。理由は、保育園に入れず、正社員と同等の仕事ができないということです。

 さらに、Aさんが、会社から退職勧告をしていないにもかかわらず、社内外にそう言って、会社をさもマタハラのブラック企業と印象づけたり、社内での話し合いを録音していたことも問題になりました。

 この会社の社長は女性で、原告が出産する前に、女性たちが出産後も働きやすいように、社員で話し合って、契約社員という働き方を取り入れたし、社長自身も2人目を出産し、保育園探しに苦労していました。

 Aさんは保育園に入れることになったとして、正社員に戻りたいと訴えたそうですが、実は決まっていなかっただけでなく、申し込みもしていなかったそうです。

 Aさんに第一子が生まれたのは2013年。さぞ嬉しかったと思います。保育園に入れなかったばかりに、正社員の仕事と収入を失い、裁判で争って敗訴してしまうなど、その時は想像もしなかったはずです。社長の側も、女性たちが働きやすい会社にしたいと努力していたのに、自分の会社がブラック企業のように世間から叩かれるなど考えてもいなかったでしょう。

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筆者

円より子

円より子(まどか・よりこ) 元参議院議員、女性のための政治スクール校長

ジャパンタイムズ編集局勤務後、フリージャ―ナリスト、評論家として著書40冊、テレビ・講演で活躍後、1992年日本新党結党に参加。党則にクオータ制採用。「女性のための政治スクール」設立。現在までに100人近い議員を誕生させている。1993年から2010年まで参議院議員。民主党副代表、財政金融委員長等を歴任。盗聴法強行採決時には史上初3時間のフィリバスターを本会議場で行なった。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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