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バイデン政権下の覇権争奪を占う:中国は余裕しゃくしゃく

米ロふたつの研究機関の報告書を読み解けば

塩原俊彦 高知大学准教授

「デジタル開発の戦略的ジレンマ」

 「国際脅威2021」では、「デジタル開発の戦略的ジレンマ」という章が設けられ、中国の戦略が分析されている。その分析に際して、2020年8月5日にマイク・ポンペオ国務長官(当時)が「クリーン・ネットワーク」プログラムの拡張について発言したことに注目している。

 この「クリーン・ネットワーク」は、①クリーン・キャリア、②クリーン・ストア、③クリーン・アップス、④クリーン・クラウド、⑤クリーン・ケーブルから構成されている。

 ①は、信頼できない中国の通信会社に米国と外国との間の国際通信サービスを提供させないようにするもので、ポンペオは当時の司法長官らとともに連邦通信委員会に対して、チャイナ・テレコム(中国電信)と米国との間でサービスを提供していた他の3社の認可を取り消すといった政策に現れている。②は、信頼されていない中国のアプリの米国でのアプリストアからの削除を意味している。その具体例がティックトック(TikTok)の排除という問題だ。③は、ファーウェイ(Huawei)やその他の信頼できない製造元が米国でもっとも人気のあるアプリを事前インストールしたり、ダウンロードしたりするのを防ぐ活動を意味している。④は、米国人の個人情報や知的財産を、アリババ、百度(Baidu)、中国移動(China Mobile)、中国電信、テンセントなどの企業が運営するクラウドベースのシステムにアクセスされないように保護するものだ。⑤は、海底ケーブルで運ばれる情報保護を意味している。

 報告書では、このクリーン・ネットワーク・プログラムがバイデン政権にも引き継がれるとみなしている。ただし、それは

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筆者

塩原俊彦

塩原俊彦(しおばら・としひこ) 高知大学准教授

1956年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。学術博士(北海道大学)。元朝日新聞モスクワ特派員。著書に、『ロシアの軍需産業』(岩波書店)、『「軍事大国」ロシアの虚実』(同)、『パイプラインの政治経済学』(法政大学出版局)、『ウクライナ・ゲート』(社会評論社)、『ウクライナ2.0』(同)、『官僚の世界史』(同)、『探求・インターネット社会』(丸善)、『ビジネス・エシックス』(講談社)、『民意と政治の断絶はなぜ起きた』(ポプラ社)、『なぜ官僚は腐敗するのか』(潮出版社)、The Anti-Corruption Polices(Maruzen Planet)など多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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