「デジタル開発の戦略的ジレンマ」
「国際脅威2021」では、「デジタル開発の戦略的ジレンマ」という章が設けられ、中国の戦略が分析されている。その分析に際して、2020年8月5日にマイク・ポンペオ国務長官(当時)が「クリーン・ネットワーク」プログラムの拡張について発言したことに注目している。
この「クリーン・ネットワーク」は、①クリーン・キャリア、②クリーン・ストア、③クリーン・アップス、④クリーン・クラウド、⑤クリーン・ケーブルから構成されている。
①は、信頼できない中国の通信会社に米国と外国との間の国際通信サービスを提供させないようにするもので、ポンペオは当時の司法長官らとともに連邦通信委員会に対して、チャイナ・テレコム(中国電信)と米国との間でサービスを提供していた他の3社の認可を取り消すといった政策に現れている。②は、信頼されていない中国のアプリの米国でのアプリストアからの削除を意味している。その具体例がティックトック(TikTok)の排除という問題だ。③は、ファーウェイ(Huawei)やその他の信頼できない製造元が米国でもっとも人気のあるアプリを事前インストールしたり、ダウンロードしたりするのを防ぐ活動を意味している。④は、米国人の個人情報や知的財産を、アリババ、百度(Baidu)、中国移動(China Mobile)、中国電信、テンセントなどの企業が運営するクラウドベースのシステムにアクセスされないように保護するものだ。⑤は、海底ケーブルで運ばれる情報保護を意味している。
報告書では、このクリーン・ネットワーク・プログラムがバイデン政権にも引き継がれるとみなしている。ただし、それは
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