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「オリンピック憲章」に明確に反する森喜朗氏の発言。もう会長交代しかない

森会長の交代と大会組織委員会の改組ができなければ、東京五輪は返上すべきだ

大濱﨑卓真 選挙コンサルタント

失言や不祥事で群を抜く森氏

 森喜朗氏といえば、内閣総理大臣時代にも数々の失言や不祥事で取り上げられたことから、今回の失言に驚く人は少ないかもしれません。

 実際、えひめ丸事故の対応など有事の対応の手際の悪さや失言癖は、歴代内閣と比較しても群を抜いており、内閣支持率が最終盤でひと桁(9% 。 2001年2月朝日新聞社調査)まで落ち込んだことも、強く印象に残っています。

 そのような人物をTOCOGの会長に就任させ、ここまで会長として担ぎ上げてきた政府の体制にも疑問がありますが、今回の発言にしても本人は、「これはテレビがあるからやりにくいんだが」などと、公になれば問題になるということを理解したうえで確信犯的に発言しており、リーダーシップとしての資質や性格特性的な問題があることは明白です。

拡大日本オリンピック委員会女性理事増員方針を巡る発言について記者会見する東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長=2021年2月4日午後2時18分、東京都中央区

反省の色が薄い記者会見

 組織委員会もさすがにまずいとみたのか、発言翌日(4日)に森会長の記者会見をセット、本人から謝罪と弁明の発言がありました。

 ただ、形のうえでは謝罪と発言の撤回に触れたものの、会見中に薄ら笑いを浮かべるシーンもみられたほか、「面白おかしくしたいから聞いているんだろ?」などと逆ギレとも捉えられるような発言をするなど、真意は謝罪にないと思わせるような発言も散見され、本人が自らの意思で行った会見というよりは、世論や組織委員会からの声を受けて仕方なく行った記者会見という印象を強く受けました。

 「女性が多いと会議が長い」という発言の根拠について、「わからない」としながらも、「(そういう話は)よく聞きます。」などと付言するなど、自分の発言は正しいが、五輪の精神に反しているという指摘があったので渋々撤回する気持ちがありありで、これですっきりと幕引きとなるとは思えません。

 本稿執筆時では海外メディアによる記者会見への反応はまだ入ってきていませんが、今後記者会見の様子が海外でどのように報道されるのかによっては、さらにもう一波乱ありそうです。

拡大街頭に掲げられた五輪のバナー=2021年1月23日、東京・日本橋


筆者

大濱﨑卓真

大濱﨑卓真(おおはまざき・たくま) 選挙コンサルタント

1988年生まれ。青山学院大学経営学部中退。2010年に選挙コンサルティングのジャッグジャパン株式会社を設立、現在代表取締役。衆参国政選挙や首長選挙をはじめ、日本全国の選挙に与野党問わず関わるほか、「選挙を科学する」をテーマとした選挙に関する研究も行う。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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