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「女の会議は長い」のか

完全に世界から取り残される前に、この醜悪な現実に真剣に向き合わなければならない

井戸まさえ ジャーナリスト、元衆議院議員

 「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」「(女性は)競争意識が強い」――。

 コロナ禍により閉塞した日本で、またしても森喜朗元総理の発言が物議を醸している。たびたび女性差別発言を繰り返してきた森元総理だが、今回は内容もさることながら、さらに間が悪い。

 世界中の国々が参加、注目する平和の祭典であり、人種や差別を越えるという理想の実現を目指したオリンピックを挙行するための組織の長、しかも元首相が十分な検証もなく、印象のみで、性差別的発言をしたことで国家的ダメージも免れないものであろう。

拡大2月4日の会見に臨んだ森元総理

女の会議は長いのか?

 まず、今回の森元総理発言の問題部分を検証してみよう。

 「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる。女性は優れており、競争意識が強い。誰か一人が手を挙げて言うと、自分も言わないといけないと思うんでしょうね。それでみんなが発言される」

 簡単に言えば、「女の会議は長い」ということだ。

 ここで例に挙げられた日本ラグビー協会の女性委員は5人だ。筆者の友人の谷口真由美氏もその1人だが、確かに論客だ。適当を好まず、「痛いところ」を指摘するから、それまでそんなことを指摘された経験がない男性理事がひるむことも想像には難くない。しかし、得てして話は短い。たとえばある一定の地位以上にある男性にありがちな、自分がいかに優秀か等の自慢話をだらだらしゃべることはない。議事録を精査したわけではないが、もし女性理事の話が長くても、谷口氏に限らず、本人の努力によって獲得した独自の視点から、男性理事では指摘できない部分を指摘しているものだろう。逆に言えば、組織はそれを期待して委員に指名したのだろうから、むしろ歓迎すべきことなのではないか。

 ところが、その発言を森氏は「女性同士の競争意識から出たもの」とする。つまり、「女の会議が長い」のは女同士の縄張り争い、功名争いにある、と断言しているのである。

 バルセロナ五輪柔道銀メダリストの溝口紀子氏も「女性は会議が長い」という発言以上に「女性は競争意識が強い」と発言したことに注目している。そして「女は黙っとけとも取れるし、会議で女性が手をあげるのは、競争意識ではなく、問題意識が高い」としたうえで、森氏が発した「競争意識」という言葉によって、女性のみが他の委員に対して敵対心、警戒心を持つというように変換されていることに違和感を示している。

 また、「発言の時間をある程度、規制をしていかないとなかなか終わらない」という発言については「女性理事の問題ではなく、会議進行役の手腕によるものだ」と指摘している。たしかに会議の議長は名誉職の側面もあり、事前に用意された進行からずれるととたんに仕切りができなくなる「菅首相的」な議長にたびたび出くわした経験のある人は少なくないだろう。

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筆者

井戸まさえ

井戸まさえ(いど・まさえ) ジャーナリスト、元衆議院議員

1965年宮城県生まれ。ジャーナリスト。東京女子大学大学院博士後期課程在籍。 東洋経済新報社勤務を経て2005年より兵庫県議会議員。2009年、民主党から衆議院議員に初当選(当選1回)。著書に『無戸籍の日本人』『日本の無戸籍者』『 ドキュメント 候補者たちの闘争』、佐藤優との共著『不安な未来を生き抜く最強の子育て』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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