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森喜朗さん、よくぞ言った 男の本音に非難続々で「男的世界」は変えられるか

男も女もしばるジェンダーバイアスから自由になる時代に

円より子 元参議院議員、女性のための政治スクール校長

 東京五輪パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(元総理)の日本オリンピック委員会(JOC)臨時評議会(2月3日)での発言が、国内外のメディアで取り上げられて、「日本はやっぱり女性後進国のように思われて残念」、「オリンピックの精神に反している」など、さまざまな批判の声が上がっています。“老害”だから辞任しろ、という運動も……。

また、やっちゃった

 「女性がたくさん入っている理事会の会議は、時間がかかります」「女性っていうのは競争意識が強い。誰か1人が手をあげていうと、自分もいわなきゃいけないと思うんでしょうね。それでみんな発言されるんです」などと発言したというニュースを聞いた時、思わず、森さん、また、やっちゃったな、と笑っちゃいました。

 なにしろ、総理在任中の2000年、総選挙の際して無党派は「寝てしまってくれればいいい」と言った人です。総理や政治家は、投票を勧める立場でなければなりません。本心では、野党に投票しそうな無党派には投票に行って欲しくないと思っていても、口に出してはいけないでしょう。なんて、正直な人でしょう。

 そのほかにも、森さんの失言というか、本音の問題発言は何度もメディアを賑わしてきたので、「女性の多い理事会の会議は時間がかかる」発言も、またか、と思ったわけです。

拡大JOCの臨時評議会での発言について記者会見する東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長=2021年2月4日午後2時9分、東京都中央区

男の本音を体現した森発言

 スポーツ界は、根性論が幅をきかし、選手は男性で女性はマネージャーなどのケアワークが多い部活もあり、どちらかと言えば、男社会の風潮が色濃く残っている世界にみえます。ジェンダーバイアスに日々接していて、それをなんとか取り除こうと声を上げている女性たちにとって、今回の発言には怒りと残念な思いが吹き出たのも当然でしょう。

 ただ私は、森さん、よくぞ言ってくれた、とも思ったのです。

 会議の席で発言すると、「だから、女は困る」「いちいち、説明しなくても、議長がそういったんだから、いいじやないか」という形で議論を遮られる。女は黙っていろと言わんばかりの言動を投げられた女性は多いはずです。森さんだけでなく、女性が意見を言う場にいることを好まない男性は少なくない。

 本音は、みな森さんと似たりよったり。だから、森さん、また、やった、というより、よく言ってくれた、という思い。逆説的ですが、女は困るよなという本音が、女性たちの怒りを呼ぶだけでなく、スポーツ界の「昭和の男的世界」を変えなくちゃという動きを加速させることができるからです。

 実際、「森発言」はさっそく世界から揶揄(やゆ)され、非難されています。日本は外圧に弱いですから、スポーツ界がこれで少しは、多様性を重んじる方向に変わるかもしれない。男たちの本音を体現した森発言が、良いきっかけになればと思います。

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筆者

円より子

円より子(まどか・よりこ) 元参議院議員、女性のための政治スクール校長

ジャパンタイムズ編集局勤務後、フリージャ―ナリスト、評論家として著書40冊、テレビ・講演で活躍後、1992年日本新党結党に参加。党則にクオータ制採用。「女性のための政治スクール」設立。現在までに100人近い議員を誕生させている。1993年から2010年まで参議院議員。民主党副代表、財政金融委員長等を歴任。盗聴法強行採決時には史上初3時間のフィリバスターを本会議場で行なった。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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