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ドローンが映すミャンマー大規模デモ「ヤンゴン緊急リポート」第四弾、ついに銃弾に倒れた者も

「75歳の“母親”が国のために頑張っているのに黙っているわけにはいかない」

松下英樹 Tokio Investment Co., Ltd. 取締役

2月8日の動き

 午前7時、定例のオンラインミーティング開始。振り返れば怒涛の1週間だった。自宅での会議を終えてオフィスに移動。

 午前9時、日本人駐在員を集めて緊急時の対応策について協議、日本の本社からの指示を伝える。私から「これからデモはますます拡大するだろう。スーチー氏らが解放されるまで終わらない。ヤンゴンだけでなく地方にも拡大している。ミャワディ(タイ国境の街)では軍が威嚇射撃をしたとの情報もあった。不測の事態が起こる可能性は十分にある。最悪の事態を想定しなければならない」と説明。大使館から退避勧告が発せられた場合の対応について確認する。1998年のジャカルタ暴動の際は数日間で9000人の在留邦人が国外退避したという。

 昨日のデモに参加した従業員からヒアリング。「75歳の“母親”が国のために頑張っているのに自分たちが黙っているわけにはいかない。解放されるまで続ける」とのこと。これが大多数の国民の声と考える。

 今日も大規模なデモが予定されていると聞いていたので、ほとんどの従業員は自宅待機としたが、出社した従業員からもデモに参加したいので午後から休ませて欲しいとの申し出があった。ネピドー(首都)の公務員も職場放棄してデモを行っているとのこと。しばらくはどの事業所も仕事どころではないという状況だ。

 午前中に2件目のオンライン会議を終えて昼食を取りに外出する。すれ違う車や人たちが皆、3本指を掲げて合図を送ってくる。大通りでは携帯電話ショップの店員たちが、デモ参加者に無料で水ボトルを配布していた。

 ミャンマー人のこういう連帯感というか助け合いの精神には感心させられる。政治に無関心な日本の若者たちと比較すると羨ましくさえも思う。なのに、どうしてこんな政治状況になってしまうのであろうか。

拡大2月8日 沿道でデモ隊に声援を送る人たち バハン地区 (筆者撮影)

拡大2月8日 無料で水ボトルを配布する携帯電話ショップの店員たち バハン地区 (筆者撮影)

 午後1時、オフィスに戻ると大使館から「注意喚起」のメールあり。続いて取引口座のある邦銀の支店から「正午を持って臨時休業とする」とメールが届く。事態が長引けば、経済的な損失も膨らんでいく。

 2月12日(金)及び17日(水)の全日空ヤンゴン発成田着NH814便の欠航が決まった。昨年来コロナのせいで一時帰国していた駐在員が、その帰路便で多数戻ってくるはずだったのに残念だ。全日空のヤンゴン支店長は同郷の知人であるが、コロナ対応に加えて今度はクーデターに翻弄されて、心労はいかばかりかと思う。

 明日もさらに拡大したデモが行われるとのこと。終わりは見えない。

 午後8時から全権を掌握したミン・アウン・フライン司令官がテレビで国民に向けてのメッセージを発表するとのこと。いよいよ戒厳令発動か、と身構えたが、これまでの主張を繰り返すのみで、特に新しいものではなかった。

拡大インタビューに応じるミャンマーのミンアウンフライン国軍最高司令官=2019年2月14日、ネピドー

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筆者

松下英樹

松下英樹(まつした・ひでき) Tokio Investment Co., Ltd. 取締役

ヤンゴン在住歴18年目、2003年より日本とミャンマーを往復しながらビジネスコンサルタント、投資銀行設立等を手がけ、ミャンマーで現地ビジネスに最も精通した日本人として知られている。著書に「新聞では書かない、ミャンマーに世界が押し寄せる30の理由」(講談社プラスアルファ新書)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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