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連載「失敗だらけの役人人生」始まります 筆者の黒江元防衛事務次官に聞く

冷戦期から激動の安全保障政策を担ったキーパーソンがなぜ「失敗」を語るのか

藤田直央 朝日新聞編集委員(日本政治、外交、安全保障)

 防衛省で背広組(文官)トップの事務次官を2017年まで務めた黒江哲郎さんの連載を、今月から「論座」に掲載します。タイトルは「失敗だらけの役人人生」。米ソ対立の冷戦下に防衛庁に入り、その後の中国、北朝鮮の台頭で激変した日本の安全保障政策の中枢で要職を歴任したキーパーソンが「失敗だらけ」だったとは……。インタビューでその思いを聞きました。

拡大インタビューに応じる黒江・元防衛事務次官=2月、東京・神田駿河台。藤田撮影

――今回の連載は、黒江さんが昨年末から安全保障政策の論考サイト「市ケ谷台論壇」からの転載です。市ケ谷台というのは防衛省がある所ですが、そもそもなぜ「市ケ谷台論壇」に寄稿したのですか。

 新人官僚研修で各省庁の次官が持ち回りで講演する場があって、私は2015年に次官になった翌年ぐらいに担当しました。防衛の話よりも仕事のやり方を伝えた方がいいと思い、文書の書き方や資料の作り方、使っちゃいけない言葉、使った方がいい言葉などについて話したんです。

 特に政策を国会議員に説明する時は、論破するより納得してもらって、法案の採決なら一票入れてもらわないといけない。政党に属する議員には党議拘束がかかりますが、それでもその省を応援してやろうという議員が一人でも増えればいい。共感を得ることが大事だといったことですね。

拡大衆院本会議場での記名投票の様子=2020年。朝日新聞社

 ちょっと気をつければ失敗しなかったということが、37年の役人人生でいっぱいあって、それを防衛省の後輩たちにより具体的に伝えたいと思いました。退官翌年の2018年に先輩の次官たちが「市ケ谷台論壇」を立ち上げたので相談したら、いいよと言ってくれたので連載を始めました。


筆者

藤田直央

藤田直央(ふじた・なおたか) 朝日新聞編集委員(日本政治、外交、安全保障)

1972年生まれ。京都大学法学部卒。朝日新聞で主に政治部に所属。米ハーバード大学客員研究員、那覇総局員、外交・防衛担当キャップなどを経て2019年から現職。著書に北朝鮮問題での『エスカレーション』(岩波書店)、日独で取材した『ナショナリズムを陶冶する』(朝日新聞出版)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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