音声SNSにこれまでのSNSにはないの可能性はあるのか?
2021年02月13日
「Clubhouse(クラブハウス)」をご存じでしょうか? アメリカ初のスタートアップアプリで、招待制のSNSです。今回は、これを使ってみた私がその感想と可能性を論じてみたいと思います。
まず、初めにお断りしておきますが、私は、自分が国際政治学者なのかどうか、よく分かっていません。私の専門は、日本の外交・安全保障政策なので、いわゆる学問的な意味での国際政治学者とは違うと思っています。
学問的に言えば、国際政治学者とは、国際政治理論やもう少し普遍的な国際政治の事象を扱っている人を言うのだと思います。と、いうことで、私は、学問的に言えば日本の外交安全保障政策・日本政治外交史の研究者ということになると思っています。
では、何故、本稿のタイトルを「“国際政治学者”が」としたかと言えば、一般的な視点で言えば、国際政治学者なのだろうからです。クラブハウスの話なのに、何故自分の定義から入ったのかと言えば、クラブハウスにおける自分の立ち位置を説明する必要があるからです。
クラブハウスは学会とは違います。不特定多数の方々が使うSNSなので、知らない方がほとんどです。クラブハウスではルームを開いて、そこに参加し、話を聞いたり、しゃべったりします。そのなかで、参加者の皆さんは、互いのプロフィールを見て、「あ、こういう人だな」と、理解をします。その中で、自分の立ち位置が定まってきます。
「国際政治的な観点から~~」とか、「外交について~~」とか質問を受けるうちに、「あ、僕って、国際政治学者なんだ」と気付いてきたということです。これを説明するために、自分の定義から始めた次第です。
前置きが長くなりました。いよいよ本論です。
さて、私がクラブハウスを始めた当初(1月28日)、クラブハウスで知り合った人以外はほとんどいませんでした。知っているのは、招待していただいた方と1人か2人……、う~ん、3人くらいですかね。
使い方は他の記事で説明されているので割愛します。僕のクラブハウスにおける流れを振り返ると、初日(ただ聞いてみる)、2日目(とりあえずしゃべってみる)、3日目(自分でルームを開いてみる)でした。
私が登録した1月下旬は、まだ登録者数が少なく、メディア系とか、意識高い系の方々が多いです。クラブハウスは招待制なので、なかなか知り合い以外の方には広めづらい。そのため、同じ思想信条、そこまで難しい話でなくても、同じような業種や価値観の方々で固まっています。
クラブハウスはルームを開いて、そこに参加者が集まるのですが、ルーム自体も仲間で固まっている印象です。10人くらいがしゃべっているのを、100人くらいが聞くようなルームもあれば、インフルエンサーの方の話をただ聞くというルームもあります。
規約で全部オフレコ、メモ取るのも禁止となっています。それもあって、ぶっちゃけトークを聞けます。そういう内輪話を聞いているのは楽しいのですが、なんとなく疎外感も感じます。
ただ聞いていても、つまんないなあと思ったので、しゃべってみました。しかし、私が登録した1月下旬は、分野が分散しておらず、国際系、外交系のルームがほとんどありませんでした。そこで、最後は自分でルームを作ってみました。
モデレーター、僕一人で作ってみたんですが、まあ人は来ません。正直退屈です。一人語りと言っても、限界があります。ただ呟いているのも変な人みたいなので、たまに黙ったりしながら、誰か来るのをひたすら待ちます。
あまりにも人が来なくて、段々腹が立ってきたんで、意地でも誰か捕まえてやろうと、ルームのタイトルをキャッチ―なものに変えてみたり、説明文を付けたりと工夫をしてみたりしました。
たまたま知り合いの方がふらっと立ち寄ってくれましたので、ようやくおしゃべりが出来ました。
実はその知り合いの方というのも、ネット上で知り合った方なので、実質的には初のおしゃべりです。向こうは知らないけど、こちらは知ってるという間柄です。知り合いなのかというと、難しいところですが……。
いったんおしゃべりが始まれば、入れ代わり立ち代わり誰かが入ってくるようになりました。入って来てくれた方は、最初の知り合い以外(含めて?)、全員初対面です。入ってくるのはルームにいる方の知り合いや、興味を持って入ってきた方です。とりあえず、誰かが入ってきたら、何の仕事か聞いてみて、そこから掘り下げ、みんなで何か質問、また新しい人が来て、を繰り返しました。まるで居酒屋の雑談ですね。
次に、国際政治学者らしく、クラブハウスが政治にどういう影響を与えるのかという問題を考えてみます。
いくつか論点はありますが、一つ目は階層の固定化と分断という問題です。
先程述べたように、クラブハウスは招待制のSNSです。そのため、 同じような価値観の方々で固まってしまうのは仕方のないところです。しかし、これはSNS、さらに言えば、人間関係の持つ宿命と言えましょう。だからといって、「話の合わない人と付き合いなさい」とは言えませんし、言う意味もありません。
これがどういう問題を持つのかを感じたのが、政治家の人たちのルームを見たときです。そこには、各党の政治家の人たちが集まっていました。一見、思想信条的な偏りは見られないようです。
しかし、よくよく話を聞いてみると、
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