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「スーパーマリオ」はイタリアを救えるか

ユーロを救った男の双肩にのしかかる新たな重い課題

花田吉隆 元防衛大学校教授

拡大マイン川沿いにたつ欧州中央銀行(ECB)の高層ビル=ドイツ・フランクフルト(Mabeline72/Shutterstock.com)

欧州立て直した「ドラギ・マジック」

 ドラギ氏の名声を高めたのは、何といっても2012年の発言だ。欧州が債務危機に翻弄され、あわやユーロ崩壊という危機一髪の時、ECB総裁のドラギ氏はロンドン講演の席上「やれることは何でもやる、信じて欲しい」と発言した。その一言で市場の信頼は回復、危機が回避された。

 金融界の綾を熟知する。総裁として何をすればマーケットが動揺し、何を言えば信頼を得るか、たった一言でマーケットは動く、このツボを感得したドラギ氏は、「ドラギ・マジック」を駆使し、世界の金融界を牛耳る「金融マフィア」を思うがままに操った。

 金融政策は、経済の知識だけで済むものではない。市場の空気を読み、EUメンバー国の猛者と対決することも要求される。つまり、金融の専門家であるだけでなく、周りの空気を読み市場心理に通じるとともに、権力政治を潜り抜けるしたたかさを持ち合わせなければならない。

拡大欧州の債務危機が進んで欧州通貨ユーロが売り込まれ、一時1ユーロ=100円を切る寸前まで値下がりした=2011年12月29日
拡大欧州中央銀行本部前には「反格差」の立場からの抗議を示すためテントを張って泊まり込む人たちも出た=2011年10月22日

 欧州金融界にあって重きをなすのはドイツだ。過去の苦い経験を踏まえインフレに過敏なまでの反応を示す。2011年の総裁就任時、そのドイツに、緩和策を飲ませるのは至難の業だった。しかし景気浮揚のためには金融緩和が必要だ。ドラギ氏は見事ドイツを説得、量的緩和を断行し低迷した欧州経済を立て直していく。

イタリアの難局打開へ最適任者

 つまり、難局に直面するイタリア経済を救う者としてドラギ氏以上の適任はない。経済手腕は折り紙付き

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筆者

花田吉隆

花田吉隆(はなだ・よしたか) 元防衛大学校教授

在東ティモール特命全権大使、防衛大学校教授等を経て、早稲田大学非常勤講師。著書に「東ティモールの成功と国造りの課題」等。

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