新党首ラシェット氏、「調整型」が吉と出るか──コロナの動向も重大要因に
2021年03月05日
1月16日行われたドイツ最大与党、キリスト教民主同盟(CDU)党首選挙は、結局、ノルトライン・ヴェストファーレン州首相のアルミン・ラシェット氏が制した。9月26日に行われる連邦議会選挙後に引退が予定されるメルケル首相の跡を継ぎ、次期ドイツ首相になるまであと少しだ。しかし、今年はまだ始まったばかり。これから9月までの間、いくつものハードルが待ち受ける。ラシェット氏は無事ハードルを越え、首相の座を掴み取れるか。
元々、CDU党首選挙は、昨年2月、前任のアネーグレット・クランプカレンバウアー氏の辞任を受け、直ちに実施されるはずだったが、新型コロナの影響により1年弱もの間、延期を余儀なくされた。今回も対面での開催はかなわず、オンラインでようやく開催にこぎつけた。
結果はラシェット氏がメルツ氏を53%対47%の僅差で逆転。しかし、前評判ではラシェット氏は2番手で、対立候補のフリードリッヒ・メルツ氏にリードを許していた。ラシェット氏はどうして劣勢を挽回できたか。
実は、CDU党首は代議員1001名による間接投票だ。代議員は、連邦議員、知事、市長、地方の名望家等から選ばれる。この代議員が、変化を嫌いこれまで通りメルケル路線が継承されることを望んだ。
しかし、これには党内の不満が続出する。代議員は党員の総意を反映してない、もし党員投票なら、間違いなくメルツ氏が当選していた、との批判だ。
しかし、間接選挙は得てしてそうなる。日本でも自民党が国会議員だけで選挙したり、米国が選挙人による間接選挙をしたりすれば、必ずしも自民党員や米国民の意向がそのまま反映されるわけでない。制度として間接選挙をとる限り、結果は受け入れるしかない。
ここに第一のハードルがある。しかし、このハードルを越えるのは容易でない。党のアイデンティティーが掛かっているからだ。
CDUはもともと保守の政党だ。伝統的な価値観、家族、宗教を大事にする。
これに挑戦状を突き付けたのが2000年に党首に就任したメルケル氏だった。
しかし、これが党内の反発を呼ぶ。CDUは保守・右派とリベラル・左派に対立、非主流となった保守派はリベラル派に対する不満を募らせていった。
ラシェット氏がメルケル路線を継承するとは、このままリベラルの立ち位置を続けるということだ。保守派は当然面白くない。メルツ氏を代表に担ぎ、党を二分する結果となった。
ラシェット氏が越えなければならない第一のハードルとは、この分裂を如何に食い止め、党内を一つにまとめていくかということだ。しかし、路線の違いは容易なことでは埋まらない。対立はメルケル氏が党首になってからだから20年以上続く問題だ。このハードルは手ごわい。
ラシェット氏は調整型の政治家だ。目標に向かって一直線に突き進むというのではなく、
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