文化芸術支援、萎縮せず学びの機会に
2021年03月09日
また、学習講座や市民美術展への出展を楽しみにしている市民にしてみれば、そうした文化活動がある日突然に「憲法違反と判断されたため中止」となれば、福利を受けられないという不利益だけでなく、心の拠りどころを取り払われたような虚しさを感じることになるのではないだろうか。
しかし政教分離は、公が守らなくてはならない憲法ルールである。公が一般市民に対して負っている責任を考えれば、ルール違反を宣告される前に、こうしたルールを理解共有しておく必要がある。
この規定には二つの流れがある。
一つは戦前の政府が国家神道を利用し、軍国主義を進めた反省である。ここでは国家と神社神道の切り離しが主な関心事だった。日本で政教分離というと、一般にはこちらの線が意識される。
しかしより広い世界史のレベルの流れを見ることも必要である。200年以上も前、アメリカやフランスなどの欧米諸国が、宗教戦争や国内抗争の反省に基づいて、自らこの原則を採用してきたという流れである。
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください