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尖閣諸島、浪高し!~中国海警法から1カ月、日本には唯一“戦略的臥薪嘗胆”の道④

外相・王毅がかけた大きな謎

甘粕代三 売文家

尖閣諸島、浪高し!~中国海警法から1カ月、日本には唯一“戦略的臥薪嘗胆”の道①

尖閣諸島、浪高し!~中国海警法から1カ月、日本には唯一“戦略的臥薪嘗胆”の道②

尖閣諸島、浪高し!~中国海警法から1カ月、日本には唯一“戦略的臥薪嘗胆”の道③

「真相不明の漁船」とは?

 昨年11月来日した中国外相・王毅は大きな謎をかけた。

 「一部の真相が分かっていない日本漁船が釣魚島(魚釣島の中国名)周辺の敏感な水域に入る事態が発生しており、中国側としてはやむを得ず、非常的な反応をしなければならない。引き続き自国の主権を守っていく」

会談に臨む中国の王毅国務委員兼外相(左)と茂木敏充外相=2020年11月24日午後、東京都港区の飯倉公館、代表撮影拡大会談に臨む中国の王毅国務委員兼外相(左)と茂木敏充外相=2020年11月24日午後、東京都港区の飯倉公館、代表撮影

 日本大手メディアは王毅に対して弱腰だと外相・茂木敏充を批判するばかりで、「真相不明の漁船」に関して何も触れなかった。王毅が「真相不明」と表現した漁船の真相は尖閣水域で古くから抗議活動を展開していたチャンネル桜が支持者からの寄付金を元に石垣島で購入し、チャンネル桜代表の水島総が船主となっている第一桜丸と共に尖閣水域に出漁した恵美丸(いずれも八重山漁協所属の漁船)を指していた。

 第一桜丸と恵美丸は6月21日に出漁。中国海警局艦艇に4時間にわたって追尾を受けながら操業し、追尾を受ける模様はYouTubeにも公開した。25日には水揚げした魚介類を東京に空輸して衆議院第2議員会館で「尖閣漁業活動と中国船侵入状況報告の記者会見~尖閣諸島を護る我が国の積極的行動、周辺海域で捕れた魚のお披露目」なる試食会を催している。

 王毅は正にチャンネル桜の“偽装操業”を念頭に“真相不明の漁船”という謎かけを発したのだが、“暴支膺懲”に染め上げられた日本の大手メディアの耳には達することはなかった。

海警法施行後も尖閣水域へ

 チャンネル桜は海警法施行後も第一桜丸の尖閣領海操業を目指した。八重山日報は2月6日付けでその模様を次のように報道している。

 八重山漁協所属の「恵美丸」「第一桜丸」が5日午後8時ごろ、石垣市の登野城漁港から尖閣諸島周辺海域に向けて出港した。(中略)

 「第一桜丸」オーナーでチャンネル桜社長の水島総氏は「勇気ある漁師が漁をやってくれる。大漁を目指したい。安全に帰ってきてもらうことが大事」と強調した。

 水島氏と長尾敬衆院議員は漁船への同乗を求めていたが、水産庁は尖閣海域に向かう場合、漁業者以外の乗船は認めないとして許可しなかった。「純粋な漁業活動とは認められない」などと伝えられたという。

 水島氏らと共に来島した長尾氏は「海警法が施行されたことで、第二海軍の軍艦が日本漁船の目の前に来るような状況になる。海警法は国際秩序に対する挑戦だ」と指弾。一方で「日本政府が海警法を国際法違反だと言い切れないことに、忸怩(じくじ)たる思いがある」と語った。(後略)

 2隻の漁船は海保巡視船に伴われ尖閣水域へ向かい、待ち構えていた海警局艦艇の出迎えを受ける。2隻の操業こそが海警法施行後、海警局艦艇の初の尖閣領海侵入を招いたのである。この事実も日本大手メディアは一切報道していない。

 その模様を乗船していた漁師が撮影、チャンネル桜は「尖閣防衛の欺瞞と嘘」と称してネット上で公開。水島は自らと自民党衆議院議員・長尾敬が漁船への乗船が認められなかったことを論難した。

尖閣諸島の魚釣島に上陸し、日の丸を振る人たち=2012年8月19日、沖縄県石垣市拡大尖閣諸島の魚釣島に上陸し、日の丸を振る人たち=2012年8月19日、沖縄県石垣市

八重山署での事情聴取を終え、報道陣の取材に応じる地方議員ら。中央は水島総「頑張れ日本!全国行動委員会」幹事長=2012年8月20日、沖縄県石垣市拡大尖閣諸島の魚釣島に上陸し、八重山署での事情聴取を終えて、報道陣の取材に応じる地方議員ら。中央は水島総「頑張れ日本!全国行動委員会」幹事長=2012年8月20日、沖縄県石垣市

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筆者

甘粕代三

甘粕代三(あまかす・だいぞう) 売文家

1960年東京生まれ。早大在学中に中国政府給費留学生として2年間中国留学、卒業後、新聞、民放台北支局長などをへて現業。時事評論、競馬評論を日本だけでなく中国・台湾・香港などでも展開中。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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