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「ブロックチェーン」がもたらすアートの変革

遍在する「権力闘争」に学ぶ

塩原俊彦 高知大学准教授

アートをめぐる権力闘争

 アートをめぐる権力闘争については、思想家、柄谷行人も興味深い指摘をしている。西洋化を基本とする明治日本の近代化のなかでは、諸学問・芸術はすべて近代西洋の模倣を基本とした。漢方医学、漢文学、仏教が受け入れられるようになるのは、近代西洋の学問的方法によって再組織された後であった。しかし、唯一、例外がある。それは美術だ。こう柄谷は喝破する。そして、つぎのように指摘している。

 「たとえば、1889年に創立された東京美術学校は、のちに西洋派にとって替わられたとはいえ、最初から日本・東洋美術が中心になっていた。この事実は、たとえば、東京音楽学校が最初東洋音楽を入れなかった事実を見れば、際だっている」(『定本・柄谷行人集4 ネーションと美学』第4巻、岩波書店, 2004, 128ページ)

拡大フェノロサ
 それは、フェノロサが日本に滞在中、日本美術に近代西洋を越えるものを見出したからであった。フェノロサに協力した岡倉天心を中心に、東京美術学校が設立されたのだ。それが可能だったのは、海外で日本の美術工芸品などが高く評価されていたからにほかならない。もっと正確に言えば、伝統工芸が商業的に成功し、有力な輸出品となったから、文化官僚であった岡倉はこれを利用して西洋派に対する覇権を握ることができたのである。つまり、美術というアートにも、経済をめぐって権力闘争があったと考えられる。

 その典型が音楽、美術、文学などのアート分野の各種の賞であることは明らか

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筆者

塩原俊彦

塩原俊彦(しおばら・としひこ) 高知大学准教授

1956年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。学術博士(北海道大学)。元朝日新聞モスクワ特派員。著書に、『ロシアの軍需産業』(岩波書店)、『「軍事大国」ロシアの虚実』(同)、『パイプラインの政治経済学』(法政大学出版局)、『ウクライナ・ゲート』(社会評論社)、『ウクライナ2.0』(同)、『官僚の世界史』(同)、『探求・インターネット社会』(丸善)、『ビジネス・エシックス』(講談社)、『民意と政治の断絶はなぜ起きた』(ポプラ社)、『なぜ官僚は腐敗するのか』(潮出版社)、The Anti-Corruption Polices(Maruzen Planet)など多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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