メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

ミャンマーでフェイスブックを「武器」に闘う市民~ 独自の“リテラシー”も

クーデター批判に国軍はネット遮断や通信傍受を合法化する法案策定を進めるが……

海野麻実 記者、映像ディレクター

国民の半数以上が使用する“命綱”

 なぜ、これほどまでにフェイスブックでの抗議運動が加速しているのか。それは、ひとえに、ミャンマー人が口を揃えていうこの言葉に尽きる。「フェイスブック=インターネットなのです」

 50年に及び軍事政権による支配下にあったミャンマーだが、2011年に民政移管を成し遂げた後、通信事業自由化によりインターネットが徐々に国民生活に浸透、多くの国民がスマートフォンを手にするようになった。特に、フェイスブックユーザーは劇的なスピードで増え続け、現在は国民の半数以上がフェイスブックを使用している。

 ニュースなどを検索するエンジンもGoogleやYahoo!ではなく「フェイスブック」。気になるワードを検索の窓に入力すれば、あらゆることが完結してしまうのが、ミャンマー流。美味しい飲食店探しや人気コスメの検索に始まり、家具や家電の購入、不動産探し、さらにはお見合い相手の発掘に至るまで、フェイスブックの検索機能を使えば全て完了、といった具合だ。

 今回、フェイスブックが遮断されるというニュースが報じられた際、まるで”命綱”が絶たれるかのような悲痛なコメントがタイムラインに溢れたのも、こうした切実な背景があるからだ。

逮捕にきた警察への対応「マニュアル」が拡散

 抗議デモや不服従運動に参加した市民らが次々に拘束される動きが出るなか、クーデター発生から暫くすると、フェイスブックを「武器」として対抗する動きは独特の進化を遂げ始めた。

 主に夜間にデモ抗議参加者らを拘束する警察官らの様子を市民がスマートフォンで捉えた写真や映像が、瞬く間にフェイスブック上で拡散。フェイスブック・ライブ(Facebook live)などを通じて市民のスマートフォンから実況中継され始めてもいる。さらに、ミャンマー国民の間で急速に拡散されているのは、警察が逮捕に訪れた際にどう行動するか、という「マニュアル」だ。

 様々なアドバイスが載せられているのだが、基本的には以下の通り。

●家の鍵を必ず閉じておきましょう
●警察が来たら鍋やフライパンを鳴らして近隣の住民らにも知らせましょう
●逮捕に訪れた警察官の顔写真を撮影しましょう
●警察官の身分証明書の提示を求めましょう
●逮捕の根拠を示す書類提示を求めましょう

 そして、最も大切なこととして求めているのが、

・・・ログインして読む
(残り:約2404文字/本文:約4207文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

海野麻実

海野麻実(うみの・まみ) 記者、映像ディレクター

東京都出身。2003年慶應義塾大学卒、国際ジャーナリズム専攻。”ニュースの国際流通の規定要因分析”等を手掛ける。卒業後、民放テレビ局入社。報道局社会部記者を経たのち、報道情報番組などでディレクターを務める。福島第一原発作業員を長期取材した、FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『1F作業員~福島第一原発を追った900日』を制作。退社後は、東洋経済オンラインやForbes、共同通信47Newsなどの他、NHK Worldなど複数の媒体で、執筆、動画制作を行う。取材テーマは主に国際情勢を中心に、難民・移民政策、テロ対策、民族・宗教問題など。現在は東南アジアを拠点に海外でルポ取材を続け、撮影、編集まで手掛ける。取材や旅行で訪れた国はヨーロッパ、中東、アフリカ、南米など約40カ国。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

海野麻実の記事

もっと見る