未成年同士の殺し合いや有名人のレイプ、小児性愛や近親相姦などの事件が連日のように
2021年03月22日
日本では3月21日に4都県の緊急事態宣言が解除されたが、フランスではカステックス首相が18日に記者会見し、19日夜から4月18日までの1カ月間、パリなど首都圏を含む16県(約2200万人)のロックダウンを発表した。春の第1次ロックダウン(3月中旬から約2カ月間)、秋の第2次ロックダウン(10月28日から約2カ月間)に次いで、事実上の第3次ロックダウンだ。
首相の会見は同日午後6時からの予定だったが、土壇場で午後7時に変更された。直前まで政府内で意見の対立があったからだ。
ヴェラン保健連帯相らが医療専門家の意見を踏まえ、パリ及び周辺などのロックダウンを主張したのに対し、元商業銀行ロッシルド(英語読みはロスチャイルド)のナンバーツーだったマクロン大統領らが経済重視の観点から週末のみの外出禁止を主張し、意見がまとまらなかったからだ。結局、「16県のロックダウン」という予想を上回る厳しい措置となったのは、最終的に「金より命」の正論でまとまったからとか。
一時、終焉の兆しが見えた新型コロナは、今年に入って感染力の強い英国や南アの変異株の蔓延によって感染者も死者も急増中だ。会見直前3月17日から18日にかけての感染者は3万8501人と文字通りケタ違いの急増で、これが政府の最終判断にも影響したとみられる。仏北西部ブルターニュ地方では通常の検査では検出不能の変異株も発見された。フランスの昨年1月からの総計感染者は300万人を突破、死者も約10万人だ。
感染者の74%は重症化しやすい英国の変異株による。重症者はこの数日来、4000人を超え、パリ市内の病院の集中治療室は満杯状態だ。昨春のピーク時に実施したヘリや航空機、TGV(フランス式新幹線)を使っての空き室のある地方病院への転送も再開した。春にコロナで軽症だった男性(54)が南アの変異株に再感染し、アッという間に重症化した例も報告されている。
二度のロックダウンで実施された、外出時に目的などを明記して持参する「許可証」は最終的に見送られ、春の第1次ロックダウンの際の「自宅から1キロ、1時間以内」も緩和されて、「自宅から10㌔、時間の制限なし」になった。
第1次のロックダウンでは、「死活問題」に直結する食料品店と薬局をのぞく全店が閉鎖されたが、第2次ではテレワークの増加を受けて「IT関係店」の開店が許可された。今回は書店・レコード店、花屋、美容院の開店も許可、「文化大国フランス?」の面目躍如だ。
フランスでは1月中旬から、全国的に午後6時から午前6時までの夜間外出禁止を実施しているが、午後7時からに変更された。日没時間が遅くなったことに加え、3月末からは1時間繰り上がる「夏時間」になるため、午後6時では日がまだ高いから。
しかし、「パリ名物」の路上に張り出したカフェ、レストラン、映画館は閉鎖が半年以上も続き、サッカーの試合は実施はされているが無観客。人口(約6600万)をはるかに超える年間約9000万の観光客の姿も消え、エッフェル塔やルーヴル美術館の付近は閑散とし、まるでSF映画を見ているような不思議な光景が広がる。
仏独共同経営のテレビ局「ARTE」はドキュメンタリーやトークが主要番組だが、古今東西の名画や、北欧を含めた欧州の優れたスリラーものなども放映するので、蟄居状態の映画ファンを大いに慰めてくれる。
最近、放映されたSFスリラー映画「パーフェクト・センス」(デビッド・マッケンジー監督、英BBC、2011年制作)は2012年のサンダンス映画祭(米ユタ州)に出品され、斬新な内容で注目されたが、「ジェラシックパーク」や「ゴジラ」のようなSF特有の大がかりなスベクタル・シーンはないので、残念ながら世界的ヒットにはならなかった。だが、今なら「SF映画なのに、現実社会を忠実に描いた傑作」として評価されそうだ。
その内容は――。ある日、突然、全世界が原因不明の感染症に襲われる。感染すると、まず嗅覚を失うという新型コロナもどきの症状が発症する。次第に味覚、聴覚、視覚など五感全体を失う。評判の良い若手シェフ(ユアン・マクレガー)と感染症の研究所に勤務する女性化学者(エヴァ・グリーン)は恋に落ちるが、やがて2人も感染する。
五感を失った感染者は喜怒哀楽が激しくなる。
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください